妊娠後期や臨月は貧血になりやすい?症状は?胎児への影響・対策法など詳しく解説

【医師監修】妊婦さんの多くが貧血に悩まされています。なかでも妊娠後期や臨月は貧血になりやすいのでしょうか。その原因、症状、胎児への影響、食べ物の工夫など対策法について先輩ママの体験談やドクターの助言を交えて詳しく解説します。妊婦さんはぜひ参考にしてください。

Contents
目次
  1. 妊娠後期や臨月は貧血になりやすい?
  2. 妊娠後期や臨月に貧血になる原因は?
  3. 妊娠後期や臨月の妊婦に起こる貧血の症状は?
  4. 妊娠後期や臨月の貧血は胎児に影響がある?
  5. 妊娠後期や臨月の貧血の症状に効く食べ物などの対策法
  6. 妊娠中は貧血に注意しよう!

妊娠後期や臨月は貧血になりやすい?

定期健診で貧血を指摘されて、驚いてしまう妊婦さんは多いのではないでしょうか?貧血と診断される妊婦さんは30%以上にものぼるといわれ、多くの妊婦さんの悩みのタネともいえます。とくに妊娠後期でお腹が大きくなり、普段から息苦しさやだるさなどが気になっている場合、貧血が原因の一つとして考えられるでしょう。

妊娠後期や臨月になると、お腹の赤ちゃんのためにも、たくさんの血液が必要となります。血液は全身に酸素や栄養を運ぶ働きがあるため、不足すると息苦しさやめまい、動悸(どうき)など貧血の症状が起こります(※1)。普段と変わらない食生活をしていても、妊娠中は貧血になりやすい状態だといえます。

妊娠後期や臨月に貧血になる原因は?

女性はもともと男性よりも貧血気味の傾向にあります。海外にくらべて日本では、貧血を軽く見ているとの指摘もあり貧血の対策などもあまり行われていないのが現状です。妊娠中はとくに貧血になりやすいため注意しましょう。まずは貧血になる原因についてみていきましょう。

妊娠後期に貧血になる原因【血液量の増加】

妊娠後期に貧血になる原因に血液量の増加があります。妊娠すると血液の量は1.5倍も増えるといわれています(※2)。お腹の赤ちゃんに栄養を送るために母体が変化しているためです。妊娠12週を超えたあたりから血液は徐々に増加していき、妊娠後期には通常の血液量より4~5割増えます。この大きな変化が貧血の原因のひとつです。

カズヤ先生

産婦人科医

これは出産に備えた非常に合理的なメカニズムで、分娩時の出血(500g前後)に備えて準備しているということです。 ですので、分娩時に多少の出血を伴っても、産褥(さんじょく)お母さんは意外とケロッとしているもんです。 当然、分娩時出血量が多い場合は鉄剤の補充や、重症貧血の場合は輸血も考慮されます。

妊娠後期に貧血になる原因【血液が薄くなる】

妊娠後期に貧血になる原因には血液が薄くなることもあります。妊娠によって増えた血液は、血液中の水分だけが異常に増えた状態となってしまい、血色素の生産が追いつかず血液が薄くなってしまいます。赤血球に含まれる血色素は体中に酸素を運ぶ役割があるため、不足してしまうと動悸や息切れ、めまいなどの症状がおこります。このように血色素が足りない状態を貧血といいます。

主婦

20代

実はまったく自覚症状がなかったため、のんきにかまえていました。でも、健診のたびに血液検査をされて、だんだん心配に…妊娠中の血液検査は、普通なら3回のはずなのに…

実感する症状がなければ気づけないものですよね。健診によって自分が貧血だと知る妊婦さんは非常に多いでしょう。

妊娠後期に貧血になる原因【赤ちゃんが優先】

妊娠後期に貧血になる原因には赤ちゃんが優先なのもあります。妊娠中は母体の栄養素が優先的にお腹の赤ちゃんへ運ばれます。妊娠後期になり赤ちゃんが大きくなれば、それだけたくさんの栄養が必要になってきます。また、赤ちゃん自身の血液は母体からの栄養を元に作られるため、赤ちゃんへ優先的に栄養や鉄分が送られることで、母体はどうしても貧血気味になってしまうのです(※1)。

妊娠後期に貧血になる原因【鉄分の不足】

妊娠後期に貧血になる原因に鉄分の不足もあります。妊娠後期になると、血液を作るのに重要な鉄分が不足することで貧血になる可能性が高くなります。妊娠中の貧血のほとんどが鉄欠乏性貧血だといわれています(※1)。

現代の日本人の食生活では常に不足気味な鉄分が、妊娠によってさらに不足してしまうのです。日頃の栄養バランスを見直し、鉄分を多く取り入れるようにしましょう。

主婦

30代後半

貧血と診断されてから、鉄分のサプリなどを買い漁りました。でも、薬ではないとはいえ不安になり、結局は病院で鉄剤を処方してもらいました。

サプリメントは自分の体の状況にあわせて選ぶ必要があるので、市販のものを選ぶ際にも医師に相談して、病院で処方されたものを取り入れるのが安全です。

カズヤ先生

産婦人科医

妊婦さんの慢性的な栄養不足による貧血は非常によく起こります。 この場合、妊娠中の貧血の原因の多くは鉄欠乏性貧血です。しかしビタミンB12、または葉酸が欠乏すると大球性貧血といって、またメカニズムの違う貧血が起こり、対応が変わってきます。