体外受精のリスクとは?流産・ダウン症・障害の確率は?

【医師監修】不妊治療として行われている体外受精はリスクを伴います。母体への負担や赤ちゃんの障害など、どれだけのリスクがあるのかを知ったうえで、治療を検討したいですよね。今回は体外受精によるリスクにはどのようなものがあり、確率はどのくらいなのかについて説明します。

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専門家監修
リエ先生
産婦人科専門医.。国立大学医学科卒業後、初期研修、後期研修を経て、現在大学病院で勤務しています。患者様の不安を少しでも取り除き、正しい知識を啓蒙できればとと思います。
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Contents
目次
  1. 体外受精ってどういうもの?
  2. 体外受精でのリスクは何があるの?
  3. 体外受精における母体へのリスク
  4. 体外受精における赤ちゃんに関係するリスク
  5. 体外受精における金銭的なリスク
  6. 体外受精での主なリスクの発生確率
  7. 体外受精を検討するにあたって
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体外受精における赤ちゃんに関係するリスク【先天性異常】

体外受精と自然受精による先天性異常の発生確率の違いは大きくありません。若干体外受精の方が確率が高いといわれています。しかしこれに関しては、体外受精そのものが原因というわけではありません。体外受精を行う方は自然妊娠の方より高齢な方が多いため、年齢により確率が上がってしまうといえます。

また体外受精は多胎妊娠しやすいのです。多胎妊娠すると、単体妊娠に比べて早産児や低出生体重児が多くなります。したがって異常が出やすく、障害児として産まれる可能性が高くなるのです。先天性異常などの障害児が生まれる確率を下げるには、葉酸の摂取が不可欠といえます。

(葉酸サプリについては以下の記事も参考にしてみてください)

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体外受精における赤ちゃんに関係するリスク【双子(多児)】

多胎妊娠(双子や三つ子)になる確率は、自然妊娠よりも体外受精の方が高い傾向にあります。自然妊娠での確率は約0.3~0.4%であるのに対して、体外受精では4%といわれているのです。 体外受精では妊娠率を強めるという理由から培養して育てた胚を2個以上子宮へ移植を行います。二段階胚移植法が行われるため、2個以上の胚が着床する状態が生じるのです。

今日ではSEET法という1つの受精卵でも妊娠率が高い胚移植方法が考案されました。2個以上の胚を移植しなくても妊娠率を引上げることができるのです。しかし今日でも二段階胚移植法がハイレベルなケアの1つとして実行されています。体外受精で多胎妊娠が起きた場合、99%~が双子で三つ子が産まれるケースは極めて稀です。

多胎妊娠自体は悪いことではありません。しかしキメラになる可能性や先天性奇形が発生する等、障害児が産まれるリスクは高くなります。

リエ先生

産婦人科医

体外受精のリスクは避けられないものも多いですが、避けることが可能なものもあります。中でも多胎のリスクは移植する受精卵を1個にすることで確率を下げることができます。多胎妊娠はハイリスク妊娠となり、母体、胎児への負担が大きくなります。今の医療では、単一胚盤胞移植を原則としているのはこのためです。

体外受精における金銭的なリスク

体外受精を患う費用は保険が適応されないため、自費診療となり治療代金はかさみます。

病院や胚移植等によって金額は異なりますが、約10~100万円程が必要となります。一度の体外受精で成功した場合と、複数回体外受精を行う場合とでも金額は著しく変わってくるでしょう。

医療費を少しでも安くする方法は?

体外受精には特定不妊治療費助成制度というものがあります。自治体の指定を受けた医療機関で、国が定めた助成対象になる治療を受けた場合に適用されます。「体外受精」「顕微授精」など不妊治療にかかった費用の一部に助成金が支給されるというものです。

しかし「年齢」「回数」「所得」等によって制限があるので注意してください。市町村によっては独自に助成金制度を設けているところもあります。ぜひお住いの市町村にも助成金制度があるのかを調べてみましょう。

(不妊治療の費用については以下の記事も参考にしてみてください)

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