妊婦の仰向け寝はいい？後期はよくない？胎児に影響は？病気にも注意！

仰向け寝がよくないということではありませんが、横向きで寝ることで特にお腹が大きくなる後期は安全に過ごすことができます。一般的な横向き寝用グッズは抱きまくら。ちょうど良いものがあれば、手持ちのクッションでもかまいません。

今は「妊娠中は抱きまくら」として「出産後は授乳用クッションや赤ちゃんのおすわりを支えるクッション」としてマルチに使えるものも発売されています。新しく購入する際には、いろいろ見てみるのも良いかもしれません。

「仰向けで寝ると死産のリスクが高まる」というショッキングな説もみかけますが、胎児はお腹の中でしっかりと羊水に守られています。そのため、仰向けで寝たからといって影響がでることはありません。

仰向け寝で「苦しい」と思っても、横向きになってすぐに解消されるなら大丈夫です。しかし「お腹の張り」や「腹痛がある」「よく眠れない日が続く」といったことがある場合は、胎児にもストレスになってしまいます。

妊婦さんの仰向け寝で死産リスクが高まるといわれる理由は、海外の研究でそのような結果がでたからです。しかしその研究結果は「元々死産のリスクを抱えていた妊婦さん」が仰向け寝でリスクが増加したというものであり、聞き取り調査の対象も300人未満と十分な量ではないとされています。

ちなみに日本では「妊婦さんの仰向け寝で死産のリスクが高まる」といった研究結果はありません。

苦しいと感じないうちは問題のない仰向け寝ですが、妊娠後期のお腹が大きくなった妊婦さんには仰向けで寝るときに気をつけてほしい病気があります。それは仰臥位低血圧症候群（ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん）です。

仰臥位低血圧症候群とは、赤ちゃんが大きく育ち重くなった子宮の重みが、お腹の中にある太い静脈を圧迫してしまうことで、妊婦の血圧が急に下がってしまう状態のことです。

お腹にある静脈は心臓に血液を戻す役割を果たしているので、圧迫された状態になると心臓に血液が戻ることができません。その結果、心臓から送り出される血液も減ってしまい血圧が下がります。急に血圧が下がるということは「ショック状態」に陥るということですから、妊婦さんがさまざまな不快感に襲われるばかりか、お腹の赤ちゃんも苦しくなります。（※5）

仰臥位低血圧症候群では急に血圧が下がることから、ショック症状に陥ります。

酷いショック症状では気絶してしまうこともあります。しかし、多くの場合は「動悸」「冷汗」「気分が悪くなる」「気が遠くなる」などの段階で気がつきます。

妊娠中に仰臥位低血圧症候群になってしまったら、すぐに身体の左を下にした横向き寝に体勢を変えましょう。仰臥位的血圧症候群であれば、左を下にしてしばらく寝ていると苦しさや気が遠くなる感じはなくなるはず。体調が戻れば緊急の受診は不要です。心配であれば定期検診のときに主治医に報告しておくと良いでしょう。

もし態勢を変えて安静にしていても不快感が続くようなら、仰臥位低血圧症候群ではないトラブルが起きている可能性もあります。その場合は、早めに診察を受けて下さい。