慈しみとは？その意味が分かる慈しみ深い偉人達のエピソードも！

自動車王ヘンリー・フォードは、偉人の例に漏れず、若き日には親からも隣人からも「変人の電気技術者」と思われていました。たった一人、彼を信じ、支え続けたというクララ夫人とのエピソードは有名です。仕事が終わった後も夜中まで自動車の研究に励む夫を支え、手が紫に変色するまで、寒さの中ランプを支え続けたという慈悲の人、クララ。

その後の成功は世界中が知るところですが、晩年になり、「生まれ変わったらどうしたいか」という質問に、「何でもかまわないが、妻とだけは一緒にいたい」と答えたというフォード。無償の愛に慈愛で応えたのでしょう。愛という意味について考えさせられ、偉人夫婦で育んだ絆の強さが窺えるなんとも素敵な名言です。

日本史で最も有名な政略結婚の一つといえる「家茂と和宮」。天皇家から将軍家へ嫁入りするという難しさもあり、前途困難な結婚でした。ですが、夫となった家茂の性格が次第に和宮のかたくなな心を解きほぐします。「私たちが互いを大切にすることで幕府と朝廷の間をよりよくしよう」という目的のもと、二人は努力して行動し心を通わせていくのです。

長州との戦争が始まり、家茂は指揮のため大阪へ。「お土産に西陣織を」と言い、無事の帰宅を願った和宮の祈りむなしく、家茂は病死してしまいます。西陣織はその後和宮へ届けられましたが「あなたがいなければ意味が無い」と言って嘆いたそうです。激動の時代に、大義のために愛を育んだ二人。互いへの慈悲に満ちた逸話は現代にも多くを教えてくれます。

慈愛に溢れた偉人として必ず挙げられる日本人、「杉原千畝」。第二次世界大戦のなか、杉原は政府職員としてリトアニアの領事館に在していました。そして当時のナチス・ドイツの迫害行動により逃れてきたポーランド人を始めとする数多くの難民の姿を目の当たりにしました。避難民を助けるため、彼は自分の権限の上手い使い方を模索し始めます。

この戦争犠牲者たちを何とか助けることができないか悩み抜いた杉原は、外務省の命に反してでも、救おうと決意を固めました。大量のビザを発行することでおよそ6000人の命を救ったのです。自らの処遇を顧みずに、苦しむ人々を助けようとした杉原の慈悲の心と功績は、世界の偉人と呼ぶにふさわしく、いまなお様々な国で語り継がれています。

伝説の大女優、オードリー・ヘップバーン。銀幕での煌めいた姿が多くの人の記憶に残る彼女は、63歳の生涯を閉じるまで、熱心なボランティア活動を行っていたことで有名です。終戦の頃に少女時代を送り、辛い記憶の多かったオードリーは、生前、アフリカの紛争地域に熱心に足を運び、傷ついた子供たちに沢山の愛情と慈悲をもって接してきました。

亡くなる直前にも、ソマリアを訪れ、現地の子供たちと幸せいっぱいの笑顔でふれあうオードリーの姿は、写真の中に生き続けています。スターとしての成功にとらわれず、生涯、偉人としてではなく人間として何をできるか、慈悲の心とはどうあるべきかを考え、行動しつづけた尊敬すべき性格と姿とは、人として大切なことを私たちに教えてくれるのです。

生涯を通して、人生を豊かにする言葉を紡ぎつづけたカリスマ、ジョン・レノンの名言の一つ。ミュージシャンという枠を超えて、その詩情は世界中の人の心を打ちました。決して見返りなど求めない愛こそ、慈しみ深いものです。長いとはいえない一生のうちに、「愛」とは何かの意味を知りえたジョンの言葉は、私たちへの不変のメッセージです。