妊婦は辛いものはNGは「ウソ」!ただ注意点も!胎児や流産に影響は?

【医師監修】妊娠中は食べたいけど食べたらいけないのではないかと気を使う一方で、妊婦になると辛い物が無性に食べたくなる人は多くいます。でも、辛いものって刺激があるから妊婦が食べてはいけないイメージがありますよね。そこで、妊娠中に辛いものを食べた時の影響をご紹介いたします。

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専門家監修
カズヤ先生
現在11年目の産婦人科医です。国立大学医学部卒業。現在は関西の総合病院の産婦人科にて勤務しています。本職の都合上、顔出しできませんが、少しでも多くの方に正しい知識を啓蒙していきたいと考えています・・・
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Contents
目次
  1. 妊娠中は辛いものNGはウソ?ホント?
  2. 妊娠中に辛いものを食べる時の注意点
  3. 妊婦が辛いものを食べたら、胎児や流産への危険性は?
  4. 妊婦が辛いものを食べることで体に良い影響はある?
  5. 妊娠中におすすめの辛いものメニュー
  6. 妊婦は辛いものと上手な付き合い方を

それでは、なぜ辛いものが妊娠中には食べたいけど我慢しないとダメ、悪影響があるという説があるのでしょうか。その理由をご説明します。

妊婦が辛いものを食べ過ぎた時に出る症状

妊娠中に辛いものを食べると胃痛になることがありますよね。この胃痛はプロゲステロンによるものです。プロゲステロンは妊婦さんにとって一番大事なホルモンだとご紹介しましたが、実は胃腸の働きを弱め、胃痛を起こしやすい状態にする場合も。

このように胃が荒れやすい状態になっている妊娠中、辛いものを食べたことで胃酸の分泌の活性化が起こると、胃もたれや胃痛を起こしてしまいます。こうした理由で妊娠中は辛いものがダメだと言われているのです。

特に、香辛料が使われている辛い食べものは注意が必要です。香辛料には食欲を増進する効果があり、ついご飯を食べすぎてしまい、体重増加のリスクがあります。また、辛いものを食べる時にはつい水を飲みすぎてしまいますから、むくみにもつながることも。このようなリスクがあることは覚えておきましょう。

辛いものの影響で下痢や便秘になるリスクも

妊娠中に辛い食べものを食べると、下痢になるリスクがあります。これは辛い食べものとして代表的な唐辛子に、カプサイシンが含まれているからです。このカプサイシンによる強い刺激が胃を傷つけてしまい、消化不良を起こして下痢になります。これも妊娠中に辛いものはダメだと言われる理由のひとつです。

また、辛い食べ物は妊娠中に起こりやすいトラブルである便秘の原因になる可能性も。カプサイシンはアドレナリンを活性化させ、消化器官の働きを抑制します。このため便秘になってしまうのです。さらに、便秘になると硬い便を排出する際に痔になる恐れもあるでしょう。

(妊娠中の下痢や便秘については以下の記事も参考にしてみてください)

妊娠初期の下痢や腹痛の症状って大丈夫?原因と対処法について解説!
妊婦の便秘!その解消方法とは?妊娠中は体操や食べ物で便秘対策

妊婦は辛いものだけでなく塩分にも注意


妊婦さんが塩分を摂りすぎてしまうと、生まれてきた赤ちゃんが高血圧気味になる可能性があります。妊婦さんにとって大切な体調管理は、体重を増やしすぎないこと。そして塩分摂取量を管理することです。妊婦さんが一日に摂取していい塩分量の目安は7グラム。週に一回程度ならカレーを食べても良いですし、キムチなら一日に小鉢一杯だけなら大丈夫です。

また妊娠中に塩分を摂りすぎると、ますます体が水分を吸収しやすくなります。そうなると妊娠高血圧症候群になってしまう危険性も。妊娠高血圧症候群になってしまうと、赤ちゃんのみならず母体にも影響が出ます。塩分摂取量にはよく注意して、妊娠高血圧症候群を予防しましょう。

妊婦が辛いものを食べたら、胎児や流産への危険性は?

辛い食べものを妊婦さんが食べると、流産してしまうのではないでしょうか。心配ですよね。辛い食べものと流産との関係や妊婦さんにとって怖い妊娠高血圧症候群をご説明します。

妊婦が妊娠高血圧症候群になってしまうことが危険!

妊婦さんにとって怖いのが流産。流産の危険性が一番高いのは妊娠初期です。この時期はリスクになることは避けたいですね。妊娠初期に起こる流産は、お腹の中の赤ちゃんに原因があることがほとんど。妊婦さんが妊娠初期に辛いものを食べることは、流産に直結しません。量や食べ方に気を付ければ、食べて大丈夫ですよ。

問題なのは、辛いものの食べ過ぎで妊娠高血圧症候群になってしまうこと。妊婦さんが高血圧になることで発症する妊娠高血圧症候群が重症化すると、赤ちゃんの発育に影響が出て低体重で生まれてくることも。常位胎盤早期剥離という出産前に胎盤がはがれてしまうリスクもあります。

妊婦さんにとって怖い妊娠高血圧症候群。最悪の場合、お腹の中で赤ちゃんが突然亡くなり流産になることも。もちろん妊婦さんにとっても重症化してしまうと、子癇(しかん)というけいれん症状が出たり、腎臓や肝臓の機能障害が起こったりしてしまいます。