妊婦は湿布を貼って大丈夫?成分に注意?妊娠中に安全・NGな湿布は?

【医師監修】妊婦さんは妊娠によって起こる体の変化により「足」「肩」「背中」「腰」など様々な所に痛みが出てきやすいです。妊娠前は手軽に貼っていた湿布は、妊婦さんでも使用して大丈夫なのでしょうか?湿布は妊婦さんでも安全に使用できるのか、NGな湿布はあるのかご説明いたします。

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専門家監修
カズヤ先生
現在11年目の産婦人科医です。国立大学医学部卒業。現在は関西の総合病院の産婦人科にて勤務しています。本職の都合上、顔出しできませんが、少しでも多くの方に正しい知識を啓蒙していきたいと考えています・・・
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Contents
目次
  1. 妊婦さんでも貼れるの?湿布薬とは
  2. 湿布薬の種類
  3. 湿布の主な成分と妊婦さんに及ぼす影響
  4. 妊婦さんは湿布を貼っても大丈夫?
  5. 妊婦さんが安全に使用できる湿布は?
  6. 妊婦さんが使用してはいけない湿布は?
  7. 妊婦さんは湿布の副作用にも注意
  8. 医薬品の分類別にみる湿布薬
  9. 妊婦さんは使える?湿布以外の外皮用薬
  10. 迷ったときは医師に相談を

「経皮鎮痛消炎剤」は「非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)」が含まれていて消炎鎮痛効果が高く「温湿布」「冷湿布」の区別はありません。「経皮鎮痛消炎剤」は交感神経に働きかけ血流を悪くします。感覚を麻痺させることで「足」「肩」「背中」「腰」などの痛みを感じにくくさせる湿布です。

妊娠最後の3カ月間は、医師の指示がない限り、NSAIDを使用すべきではありません。なぜなら、この薬は胎児に問題を起こしたり、分娩中に合併症を引き起こすおそれがあるからです(※2)。代表的な湿布薬は「ロキソニンテープ」「モーラステープ」などです。市販で購入する時は薬剤師に相談しましょう。

カズヤ先生

産婦人科医

ロキソニン系の湿布はNSAIDSという消炎鎮痛作用のある成分が含まれているのですが、内服は妊娠中はもちろん出来ませんし、 湿布であっても避けるべきです。

湿布の形状【パップ剤とプラスター剤】

「パップ剤」は水分を多く含んだ白い厚手タイプの湿布で「冷湿布」「温湿布」ともに使用されています。「パップ剤」は厚手で伸縮性がないため「背中」などあまり動かさない場所に貼ると効果的です。曲げ伸ばしをする部位に貼るとはがれやすくなるためおすすめできません。

「プラスター剤」は水分を含まない伸縮性の湿布で「サロンパス」「ロキソニンテープ」「モーラステープ」などがあります。伸縮性があるため、体中どこに貼っても大丈夫です。「足」「ひじ」「腰」など曲げ伸ばしをする部位に貼って下さい。

湿布の主な成分と妊婦さんに及ぼす影響

市販や処方箋の「湿布」には、どのような成分が含まれているのでしょうか。また成分が皮膚を通して体内に入る事で、妊婦さんやおなかの赤ちゃんに影響を及ぼすことはあるのでしょうか。鎮痛消炎効果のある成分には、おなかの赤ちゃんへの影響を考えて使用を禁止されているものがあります。

湿布の主な成分は?

湿布には主に「サリチル酸メチル」「サリチル酸グリコール」「dl-カンフル」など消炎や鎮痛効果が得られる成分が入っています。「冷湿布」には爽快感を感じる「メントール」が「温湿布」には患部の血行促進を促す「カプサイシン(トウガラシ成分)」などが含まれています。

「経皮鎮痛消炎剤」には強い消炎鎮痛効果の「非ステロイド性抗炎症薬」の成分が入っているので注意して使用して下さい。「非ステロイド性抗炎症薬」の成分は「インドメタシン」「フェルビナク」「ケトプロフェン」「ロキソプロフェン」などです。

妊婦さんに及ぼす湿布の影響とは

湿布薬の成分は皮膚から吸収されて、妊婦さんの血液の中に混ざります。そしてへその緒を通しておなかの赤ちゃんに運ばれていきます。そのため薬の成分によっては、おなかの赤ちゃんに悪影響を及ぼすかもしれません。また妊娠中はホルモンのバランスが崩れ、肌が敏感になることもあるので、湿布による「かぶれ」などに気を付けて下さい。

妊婦さんが注意すべき湿布の成分

妊婦さんにとって、特に注意すべき湿布の成分「ケトプロフェン」は知っていますか?「ケトプロフェン」が含まれている湿布には医師の処方箋が必要な「モーラステープ」があります。消炎鎮痛効果のある成分ですが、厚生労働省が妊娠後期の使用を禁忌としています。内容について紹介しましょう。

・妊娠後期の女性には胎児に動脈管収縮が起こる可能性があるため、ケトプロフェンの外皮用剤を使用しないでください。
・妊娠中期の女性にケトプロフェン製剤を使用する場合、ケトプロフェンのテープ剤において羊水過少症が起きた報告があることを考慮し、必要最小限の使用にとどめるなど慎重に使用してください(※3)。

(羊水過多症については以下の記事も参考にしてみてください)

羊水過多症とは?原因や症状は?障害児になる可能性も?体験談あり

妊婦さんは湿布を貼っても大丈夫?