常位胎盤早期剥離とは?症状や原因は?兆候はある?予防できるの?

【医師監修】お腹の赤ちゃんに栄養や酸素を送るために重要な役割を担っている胎盤。通常胎盤は出産後に子宮から剥がれ落ちます。しかし、出産が終わる前に胎盤が剥がれてしまう病気が常位胎盤早期剥離です。常位胎盤早期剥離の症状や原因、兆候や予防できるかなどについて解説します。

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専門家監修
カズヤ先生
現在11年目の産婦人科医です。国立大学医学部卒業。現在は関西の総合病院の産婦人科にて勤務しています。本職の都合上、顔出しできませんが、少しでも多くの方に正しい知識を啓蒙していきたいと考えています・・・
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Contents
目次
  1. 常位胎盤早期剥離とは?
  2. 常位胎盤早期剥離の症状
  3. 常位胎盤早期剥離の原因
  4. 常位胎盤早期剥離の兆候
  5. 常位胎盤早期剥離は予防できるの?
  6. 常位胎盤早期剥離と診断されたら
  7. 少しの異変でもすぐ病院へ

常位胎盤早期剥離とは?

常位胎盤早期剥離とは、まだお腹の中に赤ちゃんがいるのにもかかわらず、子宮壁から胎盤が剥がれてしまう病気です(※1)。常位胎盤早期剥離が起こると子宮壁から出血するため、血腫が胎盤を圧迫し赤ちゃんと母体に影響を及ぼす怖い病気と言われています。

発症率は0.5~1.3%の確率で起こると考えれているので、発生頻度の高い病気ではないですが、発症したときにリスクが高い病気といえるでしょう。

常位胎盤早期剥離の症状

常位胎盤早期剥離と一言でいっても、軽症の場合と重症の場合では症状が異なります。重症と聞くと怖く感じるかもしれませんが、症状に関しての情報を知って入れば安心ですよね。この見出しでは常位胎盤早期剝離の症状で感じるお腹の痛みや出血量、赤ちゃんへの影響などについて解説しますのでご参考にしてください。

軽症の場合

発症をしても症状が軽い場合、お腹の痛みも軽く、出血も少なく、お腹の張りも我慢できる痛みであることがほとんどです。症状が軽い場合は、妊娠後期によくあるマイナートラブルと変わらないため判断が難しいといえるでしょう。軽症の場合、症状に気づいたのち早急に帝王切開で出産すれば、母子ともに助かるケースが多くみられます。

重症の場合

症状が重い場合はお腹の痛みが激しく、大量出血することもあります。お腹の張りも痛みのため歩けなかったり、動けなくなったりするケースも多いようです。また胎動が急に弱くなるという特徴もあります。胎盤が一気に剥がれてしまうと胎盤から酸素が赤ちゃんにいかなくなり、最悪の場合死亡に至るケースもあるので早急に帝王切開が必要となるでしょう。

カズヤ先生

産婦人科医

胎盤早期剥離は、出血源は胎盤の剥離面ですから、子宮外の出血よりは子宮内の出血の方が多くなる傾向があります。 出血はあまり多くなくても、子宮内では多量出血となっている場合が多く見られますので、出血だけで判断するのは非常に危険です。

常位胎盤早期剥離の原因

発症する確率は低いですが、常位胎盤早期剥離はリスクが高いのです。一体どのようなことが原因で発症するのでしょうか。この見出しではいくつかの原因をあげていますが、ここに書かれていることがすべての原因というわけではありません。中には原因不明なケースもありますが、主要な原因と言われるものについてこの見出しで解説します。

1.常位胎盤早期剥離の原因【妊娠高血圧症候群】

原因の1つは妊娠高血圧症候群によるものです。常位胎盤早期剝離が発症する原因の3分の1がこの妊娠高血圧症候群と言われているようです。妊娠高血圧症候群の原因は分かっていませんが、胎盤の血管が正常に形成されないことが原因かもと考えられています。

胎盤の酸素がたりず胎盤が剥がれやすくなる確率が高まるといわれています。遺伝や肥満だけでなく、急激な体重増加も妊娠高血圧症候群を発症する確率があるので注意が必要です。

2.常位胎盤早期剥離の原因【絨毛膜羊膜炎】

絨毛膜羊膜炎とは、赤ちゃんがいる羊膜と絨毛膜で炎症が起きてしまう病気です(※2)。膣内の細菌のバランスが崩れることによって発症するケースが多くみられます。炎症が起こると子宮頸管が柔らかくなり、破水や早産の確率が高るのでしょう。出産が早まることにより、胎盤が剥がれやすくなる可能性も高まるため、注意を必要とする病気です。