妊娠中毒症とは?原因・症状は?食事などでむくみを予防する方法や胎児への影響など解説

【医師監修】最悪の場合、胎児が亡くなる妊娠中毒症って、どんな病気なのでしょうか。その原因や症状、合併症、食事などでぬくみを予防する方法、胎児への影響などについてドクターの助言を交えて解説します。怖い病気ですが、適切な体調管理で防げます。参考にしてください。

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Contents
目次
  1. 妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)とは?
  2. 妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)の原因は?
  3. 妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)の症状
  4. 妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)の合併症とは?
  5. 妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)の胎児への影響は?
  6. 妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)の治療法・予防法
  7. 妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)に注意しよう!

妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)の合併症とは?

妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)になると、高血圧などの妊娠中毒症本来の症状に加え、妊婦さんの体調を更に悪化させる病気を合併することがあります。母体だけでなく胎児の生命にかかわる場合もあるのが、これら合併症の怖さです。妊娠中毒症に伴って発症する合併症には、どんなものがあるのでしょうか。

HELLP症候群

「溶血」「肝機能障害」「血小板減少」などが起こる病気で、各症状の英語での頭文字をとってHELLP症候群と呼ばれています(※1)。血液の凝固障害や多臓器不全を併発すると一刻も早い治療が必要です。治療に専念するため、帝王切開などによって妊娠を終了せざるをえない場合もあります。

初期症状は頭痛や不快感、胃のあたりの痛み、吐き気や嘔吐、視力低下などです。他の疾患と区別がつかないため、診断には血液検査を要します。

子癇発作

子癇(しかん)とは、妊娠20週以降の妊婦さんに初めて起こる、てんかんや脳腫瘍などを原因としないけいれん発作のことです(※2)。急激な高血圧によって血液量が増え脳がむくむことが原因で、妊娠中だけでなく分娩中、分娩後にも起こります。長引けば母体、胎児ともに危険となる、リスクの高い合併症です。

妊娠中毒症の妊婦さんで、頭痛や胃痛、吐き気やめまい、視界がチカチカして眩(まぶ)しいなどの症状がある場合は、子癇発作の前触れである可能性があります(※2)。

吐き気

高血圧やタンパク尿など妊娠中毒症の症状がある中で起こる吐き気は、妊娠中毒症の合併症として疑う必要があります。医師に状況を伝え、何か合併症を併発していないかどうか、確認してもらいましょう。

肺水腫

肺水腫(はいすいしゅ)とは、血液の中の水分が肺の中に溜まり、酸素が取り込みにくくなる病気です。妊娠中毒症の合併症として発症する場合、高血圧による負荷で肺の毛細血管から水分が滲(にじ)み出し、肺に水が溜まります。

肺水腫を併発すると咳や痰、呼吸困難などの症状が出ます。重症化すると、常に呼吸が苦しい、むくみが全身に出る、といった日常生活に支障をきたすほどの症状も少なくありません。

常位胎盤早期剥離

常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)とは、出産前に胎盤が先に子宮壁から剥がれてしまうことです。妊婦さんの出血や腹痛、子宮の異常な硬さ、胎児の動きの減少などが主な症状で、妊娠中期から後期に多く起こります。

はがれた胎盤の部分が大きいと母体が出血性ショックを起こしたり、最悪の場合、胎児が亡くなることも少なくありません。診断がつくと、母体と胎児の状態に対して最善となるよう、帝王切開などの措置が施されます(※1)。

(妊娠中の症状ついては以下の記事も参考にしてください)

【医師監修】妊娠後期の出血は危険!?少量の鮮血、茶色いなどの症状と原因について

妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)の胎児への影響は?

妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)が影響するのは母体だけではありません。お腹にいる大切な赤ちゃんにも影響する場合があります。妊婦さんが妊娠中毒症になると、胎児にはどんな影響があるのでしょうか。

早産

赤ちゃんが妊娠22週から36週までの間に産まれることが「早産」です。母体が妊娠中毒症を発症した場合、合併症などによる症状によっては、帝王切開や人工的な陣痛誘発などを行って、早産させることがあります。早産で生まれた赤ちゃんの体は機能的に未熟な状態であるため、出産後は保育器などでの管理が必須です。

胎児死亡