妊娠中のインフルエンザ!予防接種は大丈夫?妊婦と胎児に影響は?

【医師監修】「妊娠中にインフルエンザにかかると危険」という話をよく耳にしますよね。特に妊娠初期のインフルエンザは、胎児に影響を与える可能性もあります。今回は「妊娠中のインフルエンザの予防接種は可能か」「妊娠初期のインフルエンザで胎児が受ける影響」などについてご説明します。

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専門家監修
カズヤ先生
現在11年目の産婦人科医です。国立大学医学部卒業。現在は関西の総合病院の産婦人科にて勤務しています。本職の都合上、顔出しできませんが、少しでも多くの方に正しい知識を啓蒙していきたいと考えています・・・
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目次
  1. 妊娠中(妊娠初期)のインフルエンザは危険なの?
  2. 妊娠中(妊娠初期)にインフルエンザの予防接種をしてもいいの?
  3. 妊娠中(妊娠初期)のインフルエンザは母体に影響するの?
  4. 妊娠中(妊娠初期)のインフルエンザは胎児にも影響が?
  5. 妊娠中(妊娠初期)のインフルエンザの胎児への影響
  6. 妊娠中(妊娠初期)にインフルエンザを予防するには?
  7. 妊娠中(妊娠初期)にインフルエンザにかかったら
  8. 妊娠初期のインフルエンザには注意しよう

妊娠中にインフルエンザに感染すると、胎児が将来的に「統合失調症」になる可能性が高まると言われています。統合失調症は「精神分裂病」と呼ばれることもある精神疾患のひとつです。その症状としては「思考や感情がまとまらない」「妄想と現実の境目が分からなくなる」といったものが挙げられます。ただ、統合失調症の原因はまだ解明されていません。

また「妊娠中のインフルエンザ感染」と「統合失調症」との関係についての研究も多く、中には「妊娠初期にインフルエンザにかかると、胎児が将来統合失調症にかかるリスクが7倍になる」という説もみられます。ここで「インフルエンザになっただけで、胎児の統合失調症のリスクが上がってしまうの?」と不安に感じた方もいるでしょう。

しかし、胎児が将来的に統合失調症になるリスクに関しては「妊娠中にインフルエンザに感染すること自体が影響しているわけではない」とも言われています。現時点では、インフルエンザによる母体の高熱・衰弱が原因だという説が有力です。統合失調症のリスクを心配しなくて済むよう、まずは妊娠初期での感染を予防することが重要であると考えましょう。(※3)

妊娠初期のインフルエンザの胎児への影響【発達障害】

妊娠初期のインフルエンザ感染は統合失調症だけでなく、自閉症などの発達障害になるリスクも高まるとされています。ただ、こちらもインフルエンザに感染すること自体が原因であるというわけではありません。インフルエンザの症状である高熱が長期間続くことで、胎児に悪影響が及ぶという説が一般的です。

海外の研究には「妊娠中のインフルエンザで解熱剤を服用すると、子どもが発達障害になりにくい」という結果がみられたものもあります(※4)。「熱を無理に下げると病気が治りにくい」という考えの方も多いのですが、妊娠初期のインフルエンザにおいては早めに解熱することが重要です。

妊娠初期のインフルエンザの胎児への影響【神経管閉鎖障害】

妊娠初期のインフルエンザが胎児に及ぼす影響としては「神経管閉鎖障害」のリスクが高まることも挙げられます。神経管閉鎖障害は妊娠初期に起こり、胎児の脳や脊髄の機能に異常をきたす先天性の疾患です。そして統合失調症や発達障害に関するケースと同様に、こちらもインフルエンザによる高熱の影響が大きいとされています。

カズヤ先生

産婦人科医

妊娠初期にインフルエンザに感染した場合、神経管閉鎖障害や心奇形などの出生児の先天性奇形が増えるという報告がある一方で 先天奇形と関連がないという報告もあります。 さらにこれらの奇形はインフルエンザウイルスの直接的な催奇形性ではなく、妊婦の高熱によるものであり、適切な治療により 奇形のリスクは上昇しないとの報告もあります。

妊娠中(妊娠初期)にインフルエンザを予防するには?

先ほども触れたように、ワクチン接種をすることでインフルエンザを確実に予防できるというわけではありません。そのため、妊娠初期にインフルエンザにかからないようにするためには「妊婦さん自身がしっかりと予防法を実践すること」が重要です。ここでは、妊婦さん自身が実践可能なインフルエンザの予防法についてご説明します。

妊娠中(妊娠初期)のインフルエンザの予防法【人混みを避ける】

インフルエンザの流行する時期は、ウイルスがまん延しやすい人混みを避けることで予防に繋がります。「家にこもるのは退屈」と気が滅入る方もいるでしょうが「母体と胎児のため」だと考えて、自宅や人の少ない場所で過ごしてくださいね。どうしても人混みへ行かなければならない場合は、必ずマスクを付けるようにしましょう。

妊娠中(妊娠初期)のインフルエンザの予防法【手洗い・うがいの徹底】

インフルエンザの予防法として非常に効果的だとされているのが「手洗い・うがい」です。帰宅時には必ず石鹸を使って手を洗い、うがいをしましょう。手洗い・うがいを徹底することで、インフルエンザ以外の感染症の予防にも繋がります。

妊娠中(妊娠初期)のインフルエンザの予防法【規則正しい生活】