【助産師監修】臨月の頭痛や吐き気の原因は?解消法・緩和法は?

【医師監修】臨月に頭痛や吐き気に悩まされる人は少なくありません。一般的な症状ではありますが、特に頭痛は危険なものもあります。臨月に起こる不快な症状、頭痛、吐き気、むくみなどの原因を知り、適切な解消法・緩和法を覚えておいて、快適な毎日を過ごしましょう。

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専門家監修
増田陽子
平成22年「St. Methew School of Medicine」大学医学部を卒業し、日本・米国・カリブ海の医師資格を持っています。・・・
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Contents
目次
  1. 臨月に起こりやすい不調って何?
  2. 臨月に起こる頭痛は大きく分けて2種類
  3. 臨月に起こる偏頭痛
  4. 臨月に起こる緊張性頭痛
  5. 妊娠中に頭痛薬を飲んでも大丈夫?
  6. 臨月にもできる頭痛への対処法・緩和法
  7. 臨月に起こる吐き気の原因とは?
  8. 臨月に起こるむくみの原因とは?
  9. 臨月の貧血はなぜ起こる?
  10. 妊娠高血圧症には要注意
  11. 適切な対処法を知れば、出産までの毎日はもっと楽しくなる

体が冷えると血流が悪化するので、むくみを発症することがあります。気軽にできる冷え対策として取り入れたいのがフットバスです。足を温めると全身の血流が改善し、むきみが解消する効果が期待できます。大きめの洗面器にお湯を張っただけでもフットバスとして利用できます。また電動式のものなど様々な商品がはりますから、自分に合ったものを探してみましょう。

解消法・緩和法3. 着圧ソックスの利用

むくみ対策として、着圧ソックスを使うというのも一つの手でしょう。着圧ソックスとは元々は医療用に使われていたものです。圧力をかけることで足にたまりやすい血液を心臓に押し戻すのを助け、むくみ解消効果が期待されます。市販品にも、一般的な商品から妊娠中を想定した商品など、様々な圧力の商品があるので、いくつか試して、自分に合った締め付け具合のものを選ぶとよいでしょう。

臨月の貧血はなぜ起こる?

臨月には、貧血が起きることもあります。臨月には血液が増えているはずなのに貧血というと不思議に思われるかもしれませんが、妊娠中だからこそ貧血が起こる理由があるのです。

妊娠中には血液が増えるのは間違いないのですが、血液を構成している成分の増え方に差があるため血液成分比率が変化します。具体的には、血液凝固や免疫、栄養素の輸送などの役割を果たしている血漿と呼ばれる成分は47%程度も増加するのですが、酸素の輸送の役割を果たしている赤血球は17%程度しか増加しません。そのため、血液中の赤血球濃度は低下することになります。

貧血は全身に酸素の供給が追いつかず、体の組織が低酸素状態になることで引き起こされるため、血液中の赤血球濃度が低下した状態というのは貧血が起こりやすい状態なのです。また、それに加え、妊娠中は赤ちゃんへの優先的に栄養が送られるため、普段通り鉄分をとっていても鉄分不足に陥りやすくなります。鉄分は赤血球を作るために欠かせないものなので、鉄分が不足することでも貧血が起きてしまうのです。

増田陽子

内科医

妊娠前から貧血気味の妊婦さんは特に気をつけて下さい。

赤ちゃんに影響も出る可能性があるので早めの診断、治療が必要

基本的には、赤ちゃんには母体から優先的に栄養が送られているため、母体が貧血になったからといってすぐさま影響が出るわけではありません。ただし、食事が取れず必要な鉄分が摂取できない状態が続き貧血が重症化した場合には、赤ちゃんの発達が遅れ、低体重での出産になってしまうなどの影響が出てくる可能性があるため、貧血かもしれない、と思ったら医師に相談するようにしましょう。

臨月の貧血の症状

妊娠中の貧血の症状としては次のようなものが挙げられます。

●動悸や息切れが出やすい
●めまいや立ちくらみがある
●倦怠感を感じる
●冷え性が悪化した

これらの症状を感じた場合は貧血を起こしている可能性があります。妊娠時の貧血は悪化すると赤ちゃんへの影響が出る場合もあるのでここで挙げた症状に思い当たる場合はかかりつけの医師に相談すると良いでしょう。

臨月に起こる貧血への対処法・緩和法

貧血が起こらないようにするためには鉄分の摂取が重要です。特にヘム鉄と呼ばれる成分は吸収がよく、積極的に摂取したい成分だといえます。

ヘム鉄は動物性のタンパク質に多く含まれています。具体的にはレバーやカツオ、マグロなどに多く含まれています。こういった食品は積極的に食事に取り入れるようにしましょう。

また、冷えや運動不足を原因として、血流が悪化することでも貧血が起こることがあります。締め付けが強い服装は避けるほか、無理をしない範囲で適度な運動を心がけ、体を冷やしすぎないように注意しておくことが大切です。

妊娠高血圧症には要注意

臨月に出てくる症状として一般的な頭痛、吐き気、むくみについて紹介してきました。それ以外の症状として、妊娠中に注意しておくべき妊娠高血圧症の症状についてご紹介します。

妊娠高血圧症とは?

妊娠高血圧症とは以前は妊娠中毒症と呼ばれていました。妊娠中に何らかの原因で高血圧になってしまうことで、様々な症状を引き起こします。妊娠高血圧症は全妊婦の3〜7%程度が発症するとされています。特に重症化した場合には母子ともに命の危険があるため、早期の発見、治療が必要です。

主な症状としては、頭痛やめまい、むくみ、倦怠感などが現れます。特に目がチカチカするという症状を伴う場合は妊娠高血圧症を発症している可能性があるので、早めに医師の診断を受けましょう。