妊婦の血糖値は高い?正常値・基準値は?妊娠糖尿病に注意!

【医師監修】妊婦さんの血糖値は、数値が高いと妊娠糖尿病になる可能性があります。できれば病気になることなく安心して出産を迎えたいですよね。妊婦さんの血糖値はどうして高いのか、妊娠糖尿病にかかる数値はどの程度か、血糖値を下げる方法など、血糖値について詳しくお伝えします。

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専門家監修
カズヤ先生
現在11年目の産婦人科医です。国立大学医学部卒業。現在は関西の総合病院の産婦人科にて勤務しています。本職の都合上、顔出しできませんが、少しでも多くの方に正しい知識を啓蒙していきたいと考えています・・・
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目次
  1. 妊婦の血糖値が高くなる原因は?
  2. 妊婦の血糖値の正常値とは
  3. 妊婦の血糖値が高いと赤ちゃんにも影響が出る?
  4. 妊婦が妊娠糖尿病になるとどうなるの?
  5. 血糖値を下げる方法
  6. 血糖値は出産が終われば下がるの?
  7. 妊婦は普段から生活習慣に気をつけよう

妊婦の血糖値が高くなる原因は?

妊婦さんはなぜ血糖値が高くなるのでしょうか。妊娠すると糖尿病になりやすいと聞くと、驚いてしまいますよね。血糖値とは血液に含まれるブドウ糖の数値のことです。食後は食べ物に含まれる糖質が分解されブドウ糖として血液に取り込まれます。つまり食事をすれば誰でも血糖値は高くなるといえるでしょう。

血糖値が上昇するとインスリンというホルモンが働き、ブドウ糖はエネルギーに変化します。これによりブドウ糖が消費されると血糖値はゆっくりと正常の範囲まで下がっていくのです。妊婦さんはお腹の赤ちゃんにもブドウ糖を与える必要があり、インスリンの働きは抑え気味に。そのため妊娠中は血糖値が高くなりやすいのです。(※1)

妊婦の血糖値の正常値とは

出典:https://www.pinterest.jp/pin/707980003902592105/

妊婦さんは、まず血糖値の正常値を把握しておきましょう。妊娠中とはいえ血糖値が高くなり過ぎると妊娠糖尿病になってしまう可能性があります。また、血糖値は妊娠が進むにつれて高くなりやすいのです。妊娠糖尿病の目安となる血糖値は明確に定められています。血糖コントロールを行い、きちんと管理しながら出産を迎えられるようにしましょう。

検査方法によって正常値は変わる

血糖値の正常値は検査方法によって異なります。
●妊娠初期・・・随時血糖検査
●妊娠中期・・・50gGCT(50gグルコースチャレンジテスト)

それぞれの検査で正常値以上の結果が出たら、再検査として「75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)」を受けることになります。この75gOGTTの検査結果によって妊娠糖尿病かどうかが判断されるのです。

75gOGTTの正常値

75gOGTT検査とは、食事を抜いた状態で糖尿病を診断する検査です。ブドウ糖75gが入った水溶液を飲む前、飲んでから1時間後、2時間後の計3回にわたって血糖値を測ります。75gOGTT検査による妊娠中の血糖値の正常値は以下の通りです。

●飲む前が92mg(dL)未満
●飲んでから1時間後が180mg(dL)未満
●飲んでから2時間後が153mg(dL)未満

3回の検査のうち、どれかひとつでも正常値より数値が上回った場合は妊娠糖尿病と診断されます。(※2)

カズヤ先生

産婦人科医 

随時血糖の測定の際に注意が必要なのは、食後すぐに採血をしないことです。 当然ながら血糖値高値が出ますので、それぞれの産婦人科医の指示に従いましょう。

妊婦の血糖値が高いと妊娠糖尿病と診断される

血糖値が正常値を上回ると妊娠糖尿病と診断されます。妊娠糖尿病は妊娠によって引き起こされる糖代謝異常です。つまり生活習慣などに起因する糖尿病とは別の病気として区別されます。ただし、明らかに数値が高い場合は妊娠に関係なく糖尿病であると診断されます。

(妊娠糖尿病については以下の記事も参考にしてみてください)

妊娠糖尿病って何!?症状と原因、食事療法や予防法を解説

妊婦の血糖値が高いと赤ちゃんにも影響が出る?

妊婦さんとお腹の赤ちゃんはへその緒でつながっています。そのため妊婦さんの血糖値が高いと、赤ちゃんにも何らかの影響を与えかねません。過剰な栄養の供給は、赤ちゃんの成長を大きく妨げてしまう可能性があるのです。
その代表的な例をご紹介しましょう。