胎児の心拍数モニタリングでの正常値は?早い遅いの判断基準について

【医師監修】胎児が成長しているかどうか確認する方法の一つに心拍数モニタリングがあります。しかし胎児の心拍数はどのくらいが正常値なのかなど詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?今回は胎児の心拍数モニタリングの正常値と心拍数の早い遅いの判断基準について説明していきます。

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専門家監修
リエ先生
産婦人科専門医.。国立大学医学科卒業後、初期研修、後期研修を経て、現在大学病院で勤務しています。患者様の不安を少しでも取り除き、正しい知識を啓蒙できればとと思います。
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Contents
目次
  1. 胎児の心拍数モニタリングってなに?
  2. 胎児の心拍数はいつから確認できる?
  3. 胎児の心拍数モニタリングでの正常値は?
  4. 胎児の心拍数の早い、遅いの判断基準は?
  5. 胎児の心拍数モニタリングでわかる6つの結果
  6. 胎児の心拍数に異常が見られた場合は?
  7. 自宅で胎児の心拍数を確認する方法
  8. 胎児の心拍数で心配がある時は健診時に相談を

胎児の心拍数の正常値は「110bpm〜160bpm」の範囲内です(bpm…心臓の1分間の拍動数)。そして、胎児の心拍数モニタリングでは次のうちの4つの条件を満たしていれば、胎児の状態は異常なしだと判断されます。

●心拍数が正常値範囲内(110bpm〜160bpm)
●心拍数の細かい波形が正常に出現している
●一過性頻脈が出現している(心拍数が15秒以上2分未満で15bpm増加する)
●一過性徐脈が出現している(心拍数が15秒以上2分未満の間に減少する)

成人している大人の心拍数と比べると、胎児の心拍数が早いのでは?と感じる方もいるかもしれません。胎児の心臓は、まだとても小さく機能が未熟なため心拍数が大人より早いのです。さらに、ママの体調に左右されることや、胎児が少し動いただけでも一時的に心拍数が上がったり下がったりすることもよくあります。

胎児の心拍数の早い、遅いの判断基準は?

胎児の心拍数の早い、遅いの判断基準は正常値を基準にしながら判断されます。下記の2つが心拍数が早い、遅いと判断される基準値です。

●早い場合:160bpmより多い
●遅い場合:110bpmより少ない

あくまで基準値なので、医師から早い遅いと伝えられても胎児に問題がない場合もあります。胎児の心拍数が早い、遅いと診断されるとママも何か異常があるのではないか不安になってしまいますよね。心拍数が早い場合と遅い場合、胎児にはどのような可能性があるのかそれぞれ紹介していきます。

胎児の心拍数が早い場合

NST検査で胎児の心拍数が早いと診断された場合、胎児と妊婦さんに細菌感染している可能性や胎児不整脈の可能性があります。しかし基準値より心拍数が早いからといって、必ず危険な状態というわけではありません。

胎児の心拍数が一時的に増え、すぐに正常値に戻るという現象があります。これを「一過性頻脈」といい、胎児が元気に動いている証拠とも言えるので、心配する必要はありませんよ。

胎児の心拍数が遅い場合

NST検査で胎児の心拍数が遅いと判断された場合、胎児不整脈の可能性があります。こちらも心拍数が速い場合と同じで、基準値よりも少し遅くなったからといって必ず危険とは限りません。一時的に心拍数が少ない状態になりすぐに正常値に戻る場合があり、これを「一過性徐脈」といいます。

その場合、一応追加の検査が行われることもありますが、一時的に増えたり少ない状態になったりする可能性もあるということを覚えおくと、気持ちに余裕を持って行動できるでしょう。

胎児の心拍数モニタリングでわかる6つの結果

上記で胎児の心拍数モニタリングの正常値や早い、遅いの基準値など説明してきました。「一過性頻脈」と「一過性徐脈」についても軽く触れていますが、頻脈と徐脈には他にも様々な種類があります(※1)。

胎児の心拍数モニタリングの検査を行うと、装置からお腹の張りや心拍数を波線で表したものがでてきます。お腹の張りに対して胎児の心拍数がどのように変化しているのか確認するために、心拍数を表した波線とお腹の張りの波線が同時に記録されていくのです。

一過性頻脈

一過性頻脈とは、お腹の張りと同時に胎児の心拍数が増えている状態で、胎児が動いている場合に起こりやすいものです。心拍数の増加は30秒以内であれば正常値範囲内と認められています。

一過性頻脈の消失

一過性頻脈の消失とは、お腹の張りが起きているにも関わらず、心拍数が少ない状態のことです。この状態は胎児が熟睡している時に見られることがあるもので20〜50分の間でしたら正常値、基準値範囲内だといえるでしょう。