羊水とは?色や匂いは?どんな役割なの?少ないと胎児が発達不良に?

【医師監修】妊婦さんのお腹の中で胎児を包んでいる羊水。名前は知っているけど役割まではわからないという方も多いでしょう。ここでは外からは見えない羊水の色や匂い、その役割について詳しく解説します。羊水の量が少ないことで胎児に与える影響とは何なのでしょうか?

( 3ページ目 )
Commentator
|
専門家監修
カズヤ先生
現在11年目の産婦人科医です。国立大学医学部卒業。現在は関西の総合病院の産婦人科にて勤務しています。本職の都合上、顔出しできませんが、少しでも多くの方に正しい知識を啓蒙していきたいと考えています・・・
> プロフィール詳細
Contents
目次
  1. 羊水とはどんなもの?
  2. 羊水の色や匂いは?
  3. 羊水はどんな役割をしているの?
  4. 羊水の量はどうやってわかるの?
  5. 羊水が少ないと胎児が発達不良になる?
  6. 他にもある羊水トラブル
  7. 羊水の状態でトラブルをチェックしよう

羊水にはそれぞれの妊娠時期に目安となる羊水量があります。この羊水量が目安の数値よりも少ない場合、胎児にどのような影響を与えるのでしょうか?

羊水が少ない羊水過少症とは

羊水過少症は羊水トラブルのひとつで羊水の量が非常に少ない状態のことを言います(※2)。羊水過少の診断基準は「羊水の予測量が100mlより少ない」ことです。つまり羊水ポケットの測定値が2.0cm未満、羊水インデックスの測定値が5.0cm以下である場合を指します。

羊水が少ないと胎児を守るものや胎児が活動する空間が減ってしまい、胎児にとって良い状態とは言えません。特に妊娠中期は羊水が最も多い時期なので、多いのが普通という時期に羊水が不足すると胎児に何らかの異常が起きる可能性がでてきます。

(羊水過少症については以下の記事も参考にしてみてください)

羊水過少症とは?原因や症状は?羊水が少ないと障害が残る?体験談あり

羊水過少症と胎児の発達不良の関係

「羊水過少症」は胎児の成長にも大きく影響します。羊水が不足すると胎児と子宮壁の間で圧迫された胎盤は血流が悪くなるため、胎児が成長するのに必要な酸素や栄養が届かなくなってしまうのです。

血流の悪さは胎児の心臓や肺、腎臓などさまざまな器官の発達や形成に影響します。さらに羊水不足によって胎児が子宮内で動くことも難しくなり、骨格の形成や運動機能の発達にも影響を及ぼしかねません。

カズヤ先生

産婦人科医

羊水は胎児の発育に大きな影響を与えるので、羊水過少は胎児にとって非常に危険な状態です。 しかしながら、羊水過少は自覚症状がないので、定期的な妊婦検診による産婦人科医によるエコー検査で診断することが主になります。 必ず決められた妊婦検診スケジュールは守りましょう。

羊水過少症になる原因

羊水過少になる原因には、以下のようなことが考えられます。

●前期破水(分娩の準備ができていない状態で起こる破水)
●妊婦の妊娠高血圧症候群などによる胎盤機能不全
●胎児の先天性疾患(腎無形や腎異形成など)
●胎児の染色体異常(脳の障害など)
●抗凝結薬など薬によるもの
●多胎児の場合

出典:https://www.pinterest.jp/pin/85005511702927750/

特に前期破水は妊娠中期に羊水過少になる原因の約3割を占めています。多胎児の場合は1つの胎盤を胎児2人で共有することがあるため、片方の胎児が羊水過少、もう一方が羊水過多になることもあります。

(胎盤については以下の記事も参考にしてみてください)

胎盤とは?どんな役割?成長の目安は?完成したら安定期?

羊水過少症によって起こること

羊水過少症は以下のようなことを引き起こしやすくします。

●羊水がクッションの役割をしなくなる
●胎児と羊膜がくっつきやすくなる
●常位胎盤早期剥離が起こりやすい
●陣痛が弱くなったり分娩が長引いたりする
●お腹が大きくならない

以上のような症状は、胎児や妊婦さん自身に危険を及ぼすおそれがあります。ちなみに常位胎盤早期剥離とは出産時、胎児が外に出てくる前に胎盤が子宮からはがれ落ちてしまうことです(※2)。

(常位胎盤早期剥離については以下の記事も参考にしてみてください)