ノンストレステスト(NST)の目的とは?方法・グラフの見方・費用など詳しく解説

【医師監修】妊婦検診の「ノンストレステスト」とはどんな検査なのでしょうか。あまり聞きなれませんが、ノンストレステストの目的、方法、受ける時期、検査結果のグラフの見方、費用などについて、先輩ママの体験談やドクターの助言を交えて解説します。ぜひ参考にしてください。

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Contents
目次
  1. ノンストレステストって何?
  2. ノンストレステストを受ける目的
  3. ノンストレステストを受ける時期
  4. ノンストレステストの方法・かかる時間は?
  5. ノンストレステストの結果のグラフの見方
  6. ノンストレステストでかかる費用
  7. ノンストレステストはみんな受けた?~先輩ママの体験談~
  8. 安産のためにノンストレステストを受けてみよう!

検査にかかる時間は約20~40分

分娩監視装置の検査にかかる時間は病院にもよりますが、約20~40分程モニタリングするのが一般的です。しかし、40分の検査時間と聞くと長く感じますよね。なぜ40分も計測するのでしょうか?

それは、胎児が大体約20~30分ごとに寝たり起きたりを繰り返しているためです。どんなに寝るのが好きな赤ちゃんでも、40分も計測すると寝ている状態、起きている状態の両方をモニタリングすることができるからです。

カズヤ先生

産婦人科医

特にBiophysical profile score(BPS)といって、赤ちゃんの元気さをエコー検査を含めた指標で測定するときは30分程度の観察が必要になることもあります。 項目は5つで、胎児の呼吸様運動、胎動、胎児の筋緊張、羊水量、そしてNSTモニターです。

時には40分以上かかることもある

ノンストレステストでは時には40分以上かかることもあります。通常、胎動があれば必然的に脈は速くなります。しかし、その脈が早すぎたり遅すぎたりしている場合は何らかの異常が疑われるのです。そのため、40分ほどノンストレステストでお腹の赤ちゃんの心拍をモニタリングします。

また、お腹の中の赤ちゃんがよく寝る子の場合は通常の測定時間では正しく測定できないこともあります。そんな場合は助産師が「おーい、起きてね」とお腹をポンポンしたり、お腹の上からゆすって胎児を起こします。このため、妊婦さんによっては40分以上かかる場合があるのです。

アラームが鳴る


ノンストレステストの設定では、胎児の心拍数が増加して160bpm以上になると頻脈の状態となり、警告するためのアラームが鳴ります。また胎児の心拍数が減少して110bpm以下になると徐脈と呼ばれ、アラームが鳴るようになっています。

アラームが鳴ったからといっても、異常というわけではない場合もあるので慌てなくても大丈夫です。例えばお腹の中の赤ちゃんが元気すぎて、激しい胎動によって分娩監視装置のベルトがズレてしまうことはよくあります。分娩監視装置が胎児の心拍を正常に計測することができず、アラームが鳴ってしまうのです。

胎児心拍のアラームが鳴るとビックリして、不安になってしまいます。しかし、アラームが鳴ると助産師がすぐに駆け付けて対応してくれるので心配はいりません。

ノンストレステストの結果のグラフの見方

出典:https://www.pinterest.jp/pin/470696598535473189/

ノンストレステストのグラフの見方は、要点を知っていればそれほど見方が難しいものではありません。グラフの見方を知っておけば、もしもアラームが鳴ってもそれほど驚くことはなくなります。ノンストレステストのグラフの見方について紹介していきます。

ノンストレステストで描き出される2本の折れ線グラフは、上の折れ線グラフが胎児の心拍数、下の折れ線グラフは子宮の収縮の強さを表します。この2本の折れ線グラフの間に■などで表されるマークがありますが、これは胎動を表しています。では基準となる胎児心拍数はどのくらいの数字なのでしょうか?

胎児の基準心拍数は110~160bpmが目安です。数値が高くなると赤ちゃんが起きている状態で、逆に数値が低い場合は赤ちゃんが寝ている状態となります。子宮収縮の基準となる数値は子宮収縮が起こっていない状態だと20mmHg、少し張りを感じる状態で40~50mmHg、強く張っている状態だと80~90mmHg程度が目安の数値となります。

カズヤ先生

産婦人科医

その他にも、サイナソイダルパターンと言ってNSTモニター上で、胎児心拍が規則正しい正弦波を示すパターンがあります。 この様なサインが出ているときは、胎児貧血、心不全、低酸素状態、血液型不適合妊娠時の胎児貧血、あるいは常位胎盤早期剥離(はくり)などの 重症疾患が疑われます。

一過性頻脈と一過性徐脈

妊娠9カ月ともなればお腹が時々張ることは自然なことです。モニタリング中に張りが起こると胎児の心拍数も一時的な上昇が見られます。このような状態を一過性頻脈といいます。大人でも運動したり体を動かすと一時的に心拍が上がりまする。これと同じ現象なので心配はいりません。

反対に心拍数が一時的に下がる、一過性徐脈が起こる場合もあります。これは子宮収縮した際に、臍(へそ)の緒が子宮壁と胎児に挟まれ圧迫されたり、児頭が子宮口に挟まり圧迫されて一時的に心拍数が下がる現象です。

通常であれば胎児の姿勢が変わって子宮への圧迫がなくなれば治りますが、すぐに治まらない場合は胎児が酸欠状態にあると考えられるので注意が必要です。一過性徐脈にはいくつか種類があるので紹介します。

早発一過性徐脈

早発一過性徐脈は子宮口が4~6cm前後に開いた頃に、子宮収縮によって胎児の頭が圧迫されると起こります。これは子宮の収縮に対して正常な反応なので心配はいりません。(※2)

正常かどうかのグラフの見方は、20分のノンストレステストで2回ほどの一過性徐脈が見られたら赤ちゃんは健康であると判断することが多いでしょう。

変動一過性徐脈

変動一過性徐脈は胎児の体と子宮壁の間でへその緒(臍帯)が圧迫され、一時的に心拍数が低下した状態を表しています(※2)。臍帯の圧迫がなくなれば、心拍数が回復するのが特徴です。しかし、何度も変動一過性徐脈が起こると胎児が低酸素状態になってしまう恐れが考えられます。場合によっては緊急な処置が必要となる場合があります。

遅発一過性徐脈

一方、遅発一過性徐脈が起こる原因はさまざまです。臍帯や児頭圧迫による圧の変化や胎盤機能の低下による低酸素状態などが考えられます。原因を特定し、場合によっては帝王切開で急遽(きゅうきょ)赤ちゃんを取り出さなければいけないケースがあります(※2)。

変動一過性徐脈はよく見られる現象で問題ない場合が多いです。一方、遅発一過性徐脈は胎児の命にもかかわってくる場合もあり、一過性徐脈が起こった際にはどちらの一過性徐脈かを判断する必要があります。その際に見分ける有効手段として「30秒ルール」と呼ばれる判定方法があります。

30秒ルールとは心拍減少に要する時間を30秒で区切り、心拍減少にかかる時間で判断します。心拍減少までに要する時間が30秒未満は変動一過性徐脈と判断します。30秒以上かかる場合は子宮収縮との関係を見ながら遅発一過性徐脈か早発一過性徐脈かを判断するのです。(※3)

(帝王切開については以下の記事も参考にしてください)

いつまで逆子で大丈夫?帝王切開になるリスクは?逆子体操で治す方法を解説