妊婦の寝方を徹底解説!胎児に影響は?楽なのは右下?シムス体位とは?

【医師監修】妊婦さんにはリラクスした睡眠がとても大事です。ただ、胎児によくない寝方や向きで寝ているのではと、気になってなかなか寝付けません。睡眠による胎児への影響、楽な寝方は右下?シムス体位って何?などについて妊婦さんの声やドクター指摘を基に説明します。

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専門家監修
カズヤ先生
現在11年目の産婦人科医です。国立大学医学部卒業。現在は関西の総合病院の産婦人科にて勤務しています。本職の都合上、顔出しできませんが、少しでも多くの方に正しい知識を啓蒙していきたいと考えています・・・
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Contents
目次
  1. 妊婦の悩みの一つ!妊娠中の寝方や睡眠はどう変わるの?
  2. 妊婦の悩み(妊娠初期の身体の変化)
  3. 妊婦の悩み(妊娠中期の睡眠の変化)
  4. 妊婦の悩み(妊娠後期の睡眠の変化)
  5. 妊婦にとって睡眠は大事!胎児への影響はあるの?
  6. 何だか息苦しい?吐き気も?寝方が原因かもしれません
  7. 右下?それとも左下?寝方で変わる身体への負担
  8. 妊娠中もこれで熟睡!妊婦におすすめの寝方「シムス体位」
  9. 妊娠中の寝方を工夫して熟睡できる妊婦へ

何だか息苦しい?吐き気も?寝方が原因かもしれません

妊娠中に「なんだか寝苦しくなり目が覚めた」というようなことはありませんか?それは寝ている向きが原因かもしれません。

後期の妊婦は寝方に注意!用心すべき症状

妊娠後期の妊婦さんは寝方に注意、用心すべき症状があります。

妊娠後期に入りお腹が大きくなって重さが増すと、その重みが原因で寝方の向きによっては身体へ不調があらわれる場合があります。息苦しさを感じる、動悸がする、顔色が悪くなるなどの症状があらわれた場合は注意が必要です。

これらの症状は仰向けで寝ているときに起こりやすく「仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうじょうぐん)」と呼ばれています。

妊娠中に起こりやすい「仰臥位低血圧症候群」とは?

妊娠中に起こりやすい仰臥位低血圧症候群とは、仰臥位(仰向け)の姿勢のときに子宮の重みで血管が圧迫され、急激に血圧が低下する症状のことをいいます。仰向けで寝ているときは子宮の重みの影響を受けやすく、大静脈が押しつぶされる形となってしまうことが原因です。

そうなると、心臓に戻る血液の量が減り、急激な低血圧の状態となってしまうのです。上記の症状の他にめまいや吐き気、重度になると意識がもうろうとするなどの症状が起きることもあるので、注意しましょう。

このような症状があらわれた場合はすぐに起き上がろうとせず、左側に体を少し傾けた状態で安静にしましょう。圧迫された大静脈が元に戻ることで血圧も回復し、症状が和らいできます(※2)。それでも長時間症状が続くようであれば、かかっている産婦人科で診てもらいましょう。

カズヤ先生

産婦人科医

仰臥位低血圧症候群は非常に危険です。大静脈の下半身や消化管、肝臓からの大量の血液を受け取る下大静脈が増大する子宮で圧排されて 静脈還流(心臓に帰ってくる酸素濃度が少なくなった血液)が減少することで、心拍出量(心臓から送り出す血液)が低下します。 すぐに体位変換(左下)することが必要です。

(妊娠中の寝方については以下の記事もご参考にしてください)

妊婦の仰向け寝はいい?後期はよくない?胎児に影響は?病気にも注意!

右下?それとも左下?寝方で変わる身体への負担

妊娠後期の仰向けでの注意点をお話ししましたが、横向きであれば問題ないかといえばそうではありません。大静脈は背骨の前右側に位置しているため、右下の横向きで寝ると仰向けと同じように血管を圧迫してしまうのです。

妊娠中は横向きでも右下ばかりの体勢でいると、一時的な低血圧の症状だけではなく慢性的なむくみなども起きやすいと言われています。

妊婦を悩ませるむくみやこむら返りはコレが原因かも

妊婦を悩ませるむくみやこむら返りはコレが原因かもしれません。

妊娠後期の増大した胎児や羊水の重さは、予想以上に体に負担をかけています。このため後期に入るとむくみや脚のしびれ、こむら返りといった症状に慢性的に悩む妊婦は多いでしょう。その場合も寝方を工夫することにより緩和されることもあるので、右下ばかりで寝る癖がある方などは一度寝方を変えてみるといいでしょう。

(妊娠中のむくみ症状については以下の記事も参考にしてください)

臨月の手足のむくみや体重増加、対策は必要?原因や解消法とは?
妊娠初期のむくみの対策は?足のだるさや指のむくみの原因は?

妊娠中もこれで熟睡!妊婦におすすめの寝方「シムス体位」

体を休める為にも妊娠中の睡眠はしっかりとりたいですよね。妊娠中期以降、お腹が大きくなってからは「シムス体位」と呼ばれる寝方がおすすめです。