胎児発育不全とは?原因は?成長が遅い赤ちゃんへのリスク・障害、治療法についても解説!

【医師監修】胎児発育不全とはどういう状態の胎児をいうのでしょうか。妊婦さんなら誰でも心配になります。改めて胎児発育不全の診断方法、原因(母体、胎児別)、赤ちゃんへのリスク、障害、治療、予防法などについてドクターの助言を交えて解説します。参考にしてください。

Contents
目次
  1. 胎児発育不全ってなに?
  2. 胎児発育不全の診断方法
  3. 胎児発育不全になってしまう原因は?
  4. 胎児発育不全には2種類のタイプがある?
  5. 胎児発育不全の症状は?
  6. 胎児発育不全が及ぼす赤ちゃんへのリスク、障害は?
  7. 胎児発育不全の治療法
  8. 胎児発育不全の予防法
  9. 胎児発育不全の場合の分娩方法は帝王切開?
  10. 胎児発育不全は生活習慣の改善で予防できる!

胎児発育不全ってなに?

妊娠したことがある女性であれば、1度は胎児発育不全という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。成長が遅い、体が小さいというイメージを持っている人も多くいます。胎児発育不全とは、いったいどんな症状をいうのでしょうか。

体重や身長が小さく発育が遅い

胎児発育不全とは、胎児の体重や身長が平均に比べて小さく、全体の発育が遅いのが特徴です。また、胎児がなんらかの障害を持っている場合は、頭と身体で発育のスピードが違うともいわれています。

死亡率が高くなる

胎児発育不全と診断されると、そうでない胎児と比べて死亡率が高くなる傾向にあります。死産になったり、生まれてからすぐに死亡することもあります。これは、胎児発育不全により充分に体の成長ができないまま生まれてきたため、感染症などにかかるリスクが高いからです。

胎児発育不全の診断方法

胎児発育不全とは、ママのお腹の中で胎児が順調に成長できないことです。では、胎児発育不全はいつ頃どんな方法で診断されるのでしょうか。

妊娠週数と胎児の大きさ

胎児発育不全の診断方法で最もわかりやすいのが妊娠週数から胎児の大きさを見比べることです。健康な胎児と比べると成長が遅いことがわかります。「妊娠した時期がわからない…」という人も、医師が生理周期から排卵日を予測してくれますので安心してください。

妊娠8~12週のあいだに胎児の大きさをチェックします。この時に見るポイントは、胎児の頭からおしりまでの長さです。ただし、平均より小さいからといって必ずしも胎児発育不全とはなりません。

(胎児の成長過程については以下の記事も参考にしてください)

胎児の成長過程は?身長・体重・様子は?妊娠初期〜臨月まで画像で紹介!

胎児の推定体重

胎児の推定体重は胎児発育不全を診断するために重要です。しかし、胎児の体重をどうやって測定するのかと疑問に思う人も多いでしょう。

胎児の推定体重は、超音波検査で測定します。超音波検査で見える胎児の頭やお腹、太ももの骨の長さを測り、それを数式に当てはめることで胎児の推定体重を計算するのです(※1)。ただし医療が発達しているとはいえ、お腹の中の胎児は小さいため、5~10%程度で誤差があるといわれています。

胎児発育不全の可能性がある場合は、推定体重に誤差がある可能性を考慮して、複数回測定を行います。子供は生まれてからも背が大きい人や小さい人など成長の個人差があります。それは胎児も同じです。小さい大きいだけで判断するのではなく、体重が順調に増えているかの推移も判断のポイントとなります。

カズヤ先生

産婦人科医

原則は胎児超音波で予想体重(EFBW;estimated fetal birth weight)を測定し、その予想体重が週数における標準体重の基準値から、どれくらい離れているか、という方法(SDという標準偏差を用います)で判断します。 測定誤差も踏まえて1回の測定のみで判断することはなく、期間をあけて測定し、子宮内胎児発育遅延の可能性が高ければ胎児発育不、FGR(fetal growth restriction)として診断します

子宮底長の測定

胎児発育不全の診断方法として、子宮底長の測定があります。子宮底長というと難しい言葉にきこえますが、子宮の大きさを測ることです。これは、妊婦検診のときに行われるもので、ママの子宮の大きさが小さいと、胎児の成長が遅い可能性があるといわれています。

しかし、子宮底長の測定は誤差が大きいので、こちらも胎児機能不全を判断するための1つの目安と考えましょう。

胎児の腹囲測定

続いて、胎児発育不全の診断の1つに胎児の腹囲測定があります。こちらも、超音波検査で胎児の腹囲を測定します。平均よりも腹囲が小さい場合は、胎児発育不全の可能性があるのです。しかし、腹囲が平均より小さいというだけで胎児発育不全の診断にはなりません。さまざまな診断方法から総合的に見て判断されます。