人工死産とは?方法や、その後の手続きは?次の妊娠への影響や体験談も紹介

【医師監修】人工死産とは聞き慣れない言葉です。中絶や死産とどう違うのでしょうか。人工死産の方法、理由、その後の手続き、次の妊娠への影響などについて先輩ママの体験談やドクターの助言を交えて説明します。人工死産を行うかどうか悩んでいる方も参考にしてください。

Contents
目次
  1. 人工死産とは?方法は?
  2. 人工死産をする理由は?
  3. 人工死産した後の手続きは?
  4. 人工死産した後の赤ちゃんの火葬・葬儀はどうなる?
  5. 人工死産後の次の妊娠への影響は?
  6. 人工死産に関する体験談
  7. 人工死産について理解しよう!

人工死産とは?方法は?

人工死産とはまだ胎児が生きているときに、人工的に陣痛を起こすなどの方法で死産に至らせることを言います(※1)。中絶や流産という言葉は聞いたことがあっても、人工死産という言葉は知らなかったという人は少なくないでしょう。人工死産を選ぶのは、胎児が出産後に自力で生きることが著しく難しいケースや、重い障害が出てしまう可能性があるときです。

妊娠11週6日までの中絶は初期中絶と呼ばれ、人工死産という方法とは違う方法で手術を行います。妊娠初期の時期を過ぎた、妊娠12週を超えると中期中絶と呼ばれます。中期中絶は、出産という形で胎児を取り出す人工死産という方法を取るのが一般的です。人工死産も流産や初期中絶と同じように、心身に痛みを伴います。

(自然流産や兆候については以下の記事も参考にしてください)

自然流産にいたる原因とは?症状・兆候に気づかない?流産後の妊娠についても解説

人工死産をする理由は?

なぜ赤ちゃんが成長しきる時期まで待たずに、人工死産をしなければならなかったのでしょうか。それにはさまざまな理由や事情があるのです。人工死産という方法を選択するに至った理由は主に、以下のものにわけられます。

理由1:母体のトラブル

人工死産を選択せざるを得ない母体のトラブルとは具体的に、まだ生まれても生存が難しい時期に破水する前期破水や、胎児がうまく成長できない羊水過少、羊水過多などがあります。そのまま放置しても流産や胎児の死亡リスクが高い時に中絶の選択を迫られます。

多くの母親は妊娠を継続して出産したとしても子供に重い障害が残る可能性が高いなどの理由を聞き、人工死産を選ぶのです。苦渋の決断といえるでしょう。

(HELLP症候群については以下の記事も参考にしてください)

HELLP(ヘルプ)症候群とは?症状・原因は?診断基準や胎児への影響など解説

理由2:染色体の異常

近年は出生前診断により、胎児に染色体の異常がある可能性を調べることができます。出生前診断により、まだ中絶できる時期に染色体の異常が発見され、胎児に重大な奇形や障害を持つ可能性を指摘されることがあります(※2)。重度の障害を持つ子供である可能性を知らされた母親とその家族は、産むか中絶かの選択を医師から迫られるでしょう。

理由3:無脳症の診断

無脳症とは、大脳が育たず欠損している状態です(※3)。医師から胎児が無脳症であると告げられ、人工死産という方法を選択する人もいます。胎児の頭が丸くない場合は妊娠の早い時期から無脳症を疑われます。本当に無脳症かどうかは4ヶ月の時期に確定します。無脳症は生存能力が著しく低く、大抵の場合は出産しても長く生きられません。

理由4:胎児浮腫

胎児浮腫とは胎児の首の後ろのむくみのことです。胎児浮腫がある場合、胎児にダウン症などの染色体異常や奇形のある可能性が高くなります。しかし浮腫の厚みにもよりますが、胎児浮腫と指摘されたからといって、必ずしも障害が出るとは限りません。人工死産の決断をするかどうかはセカンドオピニオンなどを受けるなどして、慎重に決断する方が良いでしょう。

理由5:水頭症の診断

水頭症とは脳の中に大量の隋液が溜まり、脳室と呼ばれる部屋が拡大する症状のことです(※4)。中でも胎児の時期に診断される水頭症のことを胎児期水頭症と呼びます。一口に水頭症といってもその種類や病状はさまざまです。また、胎児の時期に水頭症と診断されていても、後遺症もなく健康に育つ子も2割程度います。

ただし、生まれてくる子のおよそ半数は障害を持つ子か亡くなる子ということも忘れてはなりません。人工死産という方法を選ぶかどうか、母親とその家族が選択することになります。

(胎嚢が小さい場合については以下の記事も参考にしてください)

胎嚢が小さい…原因は?流産の可能性・心拍確認後の出産への影響など解説

人工死産した後の手続きは?