赤ちゃんの先天性股関節脱臼の症状は?原因や治療法、おむつ替えの注意点も!

赤ちゃんの脚を支える大切な股関節がはずれるのが、先天性股関節脱臼(だっきゅう)です。とても心配になります。先天性股関節脱臼の症状や原因、治療法、手術の必要性、自宅ケアなどについて、おむつ替えなど日常の育児での注意点を交えて説明します。参考にしてください。

Contents
目次
  1. 赤ちゃんの先天性股関節脱臼とは?発生率は?
  2. 赤ちゃんの先天性股関節脱臼の症状の見分け方
  3. 赤ちゃんの先天性股関節脱臼の原因は?遺伝する?
  4. 赤ちゃんの先天性股関節脱臼の治療法は?手術が必要?
  5. 赤ちゃんが先天性股関節脱臼のおむつ替えの注意点
  6. 赤ちゃんの先天性股関節脱臼について知っておこう

赤ちゃんの先天性股関節脱臼とは?発生率は?

新生児期の赤ちゃんは股関節が脱臼(だっきゅう)してしまうことがあります。ここでは先天性股関節脱臼について、その発生率と併せて紹介します。

先天性股関節脱臼とは

先天性股関節脱臼とは赤ちゃんの股関節が脱臼した状態をいいます。生まれたときには既に発症している例もありますが、生後3カ月くらいまでに発症することが多いようです。

股関節は、太ももの骨・大腿骨の最上部にある骨頭という丸い部分が骨盤側のくぼみ(寛骨臼:かんこつきゅう)にはまり込み骨盤と脚を連結する重要な関節です。強い筋肉が張り付いた股関節は体重の何倍もの重みに耐えながら脚を動かしています。

それだけに先天性股関節脱臼の治療は複雑で難しいといわれています。早期治療で完全に治らなければ加齢とともに進行性の痛みが出て、足を引きずるような障害が残ってしまうことがあります。(※1)



先天性股関節脱臼の発生率

先天性股関節脱臼の発症率は以前は100人に2~3人でしたが、1000人に1~3人と激減しました(※1)。これは近年、赤ちゃんの股関節を開いて足を自由に動かすコアラだっこのような保育方法が啓発されたことや出生後の予防活動の成果だといわれています。

ただ、乳児健診などでの見逃し例が少なくなく、近年は全国的にも増加傾向にあるといわれています。

母親や兄弟に先天性股関節脱臼の人がいる場合は発生率が少し高くなります。また、女児の発生率は男児に比べて5~10倍と高くなっています。

赤ちゃんの先天性股関節脱臼の症状の見分け方

股関節を脱臼していたとしても赤ちゃんに痛みはほとんどなく、痛みを訴えて泣くこともないので症状になかなか気づくことができません。

現在は3~4カ月頃の乳児検診で股の開き具合を見て、開き具合が十分でないと脱臼により股関節がずれていると診断されます。しかし、健診を受けていたにもかかわらず先天性股関節脱臼の発見に至らなかったために、診断がかなり遅れた事例も報告されています。

受診の目安となるチェック項目

家庭においても赤ちゃんの股関節に注意を払いましょう。症状としては現れませんが、以下のような先天性股関節脱臼の特徴がみられる場合は小児科医に診てもらいましょう。

●オムツ替えの時などに片方の足の開きが悪い
●関節がガクガクしたり、ポキポキやクリっという音がする
●おむつを付けたときに、ぴったりとおさまらない
●脚の長さが左右で違う
●両脚をM字に開くと、片方だけ開きにくい
●太ももやおしりのシワが左右非対称

赤ちゃんの先天性股関節脱臼の原因は?遺伝する?

先天性股関節脱臼は「先天性」とありますが、必ずしも先天的であったり遺伝的な要因であったりということではありません。また、一つの原因だけで生じるのではないとも指摘されています。先天性股関節脱臼の原因とみられるものを紹介します(※1)。

赤ちゃんの抱き方や、おむつ・衣服の着せ方によっても先天性股関節脱臼を招く恐れがあります。産まれたばかりの赤ちゃんは特に注意が必要です。早期発見・早期治療が大切なことはもちろんのこと、股関節脱臼の原因について知っておくことで予防ができることがたくさんあります。

子宮内の姿勢異常

子宮内の姿勢異常も股関節脱臼を招きます。特に、胎児がお母さんの子宮内で膝(ひざ)を伸ばしている姿勢で生まれてきた場合は骨盤位分娩児、いわゆる逆子で産まれたケース多く、股関節脱臼になる確率が高いといわれています。逆子は専門的な検診を受ける必要があります。

(逆子については以下の記事も参考にしてみてください)

逆子の原因とは?帝王切開になる?治す方法・出産までに治る確率など詳しく解説!

出生後の下肢の姿勢

腕を少し曲げて万歳をしているようなW型、足はひざを曲げたようなM字型というのが赤ちゃんの自然な姿勢です。しかし、新生児期、乳児期の赤ちゃんの下肢が持続的に伸ばした状態になると、赤ちゃんは股関節や膝関節を曲げようとします。こうやって股関節を曲げようとして、股関節脱臼が引き起こされるます。

具体的には厚着や横抱き、最近は推奨されなくなった三角オムツや巻きオムツなどによって足を真っ直ぐにした状態が長く続くと、股関節脱臼が起きやすくなります。また、特に新生児期から3カ月くらいの乳児期の間に、身体サイズに比べて小さすぎる紙おむつを使うのもよくありません。

(おむつのサイズアップについては以下の記事も参考にしてみてください)