赤ちゃんの先天性股関節脱臼の症状は?原因や治療法、おむつ替えの注意点も!

赤ちゃんの脚を支える大切な股関節がはずれるのが、先天性股関節脱臼(だっきゅう)です。とても心配になります。先天性股関節脱臼の症状や原因、治療法、手術の必要性、自宅ケアなどについて、おむつ替えなど日常の育児での注意点を交えて説明します。参考にしてください。

( 2ページ目 )
Contents
目次
  1. 赤ちゃんの先天性股関節脱臼とは?発生率は?
  2. 赤ちゃんの先天性股関節脱臼の症状の見分け方
  3. 赤ちゃんの先天性股関節脱臼の原因は?遺伝する?
  4. 赤ちゃんの先天性股関節脱臼の治療法は?手術が必要?
  5. 赤ちゃんが先天性股関節脱臼のおむつ替えの注意点
  6. 赤ちゃんの先天性股関節脱臼について知っておこう
おむつのサイズアップのタイミングは?月齢・体格など替え時の目安を紹介!

遺伝因子

先天性股関節脱臼の既往歴がある家族がいると、約4割の確率で赤ちゃんに遺伝するといわれています。特に血縁関係にある女性(脱臼のお子さんの母親、姉妹、祖母、叔母、従姉妹)は遺伝する確率が高いです。このことから、先天性股関節脱臼が遺伝する可能性は否定できません。

性別

女児の発生率が男児に比べて5~10倍と高くなっています。動物実験からも性ホルモンが先天性股関節脱臼の発生に関与していること分かっています。

出生時期

熱帯地方より寒い地方の赤ちゃんの方が、あるいは暖かい時期より寒い時期に生まれた赤ちゃんの方が先天性股関節脱臼の発生率が高いことが分かっています。これもやはり、衣服をたくさん着せることで脚の自由な動きが制限されるので、先天性股関節脱臼を発症しやすいと考えられています。

(新生児の服速については以下の記事も参考にしてみてください)

新生児の服装を《春夏秋冬》別に解説!選び方・着せ方や準備する枚数など!

赤ちゃんの先天性股関節脱臼の治療法は?手術が必要?

赤ちゃんが先天性股関節脱臼と診断された場合、どんな治療法があるのでしょうか。ここでは、手術の必要な状況とあわせて治療法を紹介します。

リーメンビューゲル治療

リーメンビューゲル治療は先天性股関節脱臼治療の第1段階です。生後6カ月くらいまでで重度の脱臼や麻痺性の脱臼でない場合は、リーメンビューゲルという簡単なバンド装具を装着して治療します。約8割の赤ちゃんが生後3カ月(体重6kg程度)ほどから治療を始め、約7割が整復できるといわれています。

リーメンビューゲル治療は外来で装具を装着し経過観察するのでホームケアが可能できます。(※2)。

牽引治療

牽引(けんいん)治療は第2段階の治療法です。先天性股関節脱臼が6カ月までであっても脱臼の程度が大きい場合や、リーメンビューゲル装具では整復できなかった場合に、脱臼の程度が大きくなる生後7カ月以上を待って入院し、牽引治療を始めます。

はじめは下にひっぱっているだけの状態から、だんだん頭の上から横に足をひっぱっていき、最後に重りを緩めると自然に整復されるという療法です。この療法で2~3歳くらいまでに脱臼が整復されます。整復された後はギプスで固定し、装具で治療します。(※2)

手術

手術が先天性股関節脱臼の最終手段です。リーメンビューゲル治療や牽引治療で整復できない場合や、2~3歳以上になると手術が必要となる場合が多くなります。手術には「人工股関節全置換術」と「骨切り術」の2通りがあります。(※2)

人工股関節に入れ換える「人工股関節全置換術」は全置換術に比べ体にかかる負担が軽く、術後の回復も早いのがメリットです。デメリットは入れた人工股関節が約20年しかもたず、壊れてしまうので再手術して入れ換えなければならないことです。

一方、「骨切り術」のメリットは関節を温存できて、一度きりの手術で一生、大丈夫な方も多くいる点です。しかし、骨折と同じで骨同士がくっつくまでは全体重がかけられない為に治療期間が長くかかかってしまうのがデメリットです。

赤ちゃんが先天性股関節脱臼のおむつ替えの注意点

足はひざを曲げたようなM字型が赤ちゃんの自然な姿勢です。赤ちゃんが先天性股関節脱臼の場合は特に、この姿勢や曲げたり伸ばしたりといった脚の動きをなるべく制限しないようにおむつ替えも注意しましょう。おむつやおむつカバーは薄いものにしてくださいね。

股の間に厚いおしめを当てたり、紙おむつを2重・3重あてて脚を無理やり開かせようとするのは誤りです。深刻な股関節変形など別の症状が出ることもありますので医師の指示に従うことが大切です。

(おむつについては以下の記事も参考にしてみてください)