体外受精(IVF)とは?手術の流れやスケジュール!費用や確率は?

【医師監修】高度不妊治療として行われている体外受精には「体外受精って費用がかかりそう」「妊娠の確率はどのくらい?」「治療の流れやスケジュールは?」などの疑問が多く、不安もありますよね。今回は体外受精にかかる費用や、治療の流れとスケジュール、妊娠の確率についてご説明します。

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専門家監修
カズヤ先生
現在11年目の産婦人科医です。国立大学医学部卒業。現在は関西の総合病院の産婦人科にて勤務しています。本職の都合上、顔出しできませんが、少しでも多くの方に正しい知識を啓蒙していきたいと考えています・・・
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Contents
目次
  1. 体外受精(IVF)とは?
  2. 体外受精(IVF)はどんな人に向いているの?
  3. 体外受精(IVF)のスケジュールと治療の流れは?
  4. 体外受精(IVF)でかかる費用は?
  5. 体外受精(IVF)での妊娠・出産・流産の確率は?
  6. 勇気を出して体外受精に挑戦しましょう!

体外受精の全体の流れにおいて最初の治療にあたる前周期では、まず卵子を育てていきます。はじめに説明したように、ここでいかに質のいい卵子を育てられるかがポイントです。卵子を育てる方法は2種類あります。排卵誘発剤で卵巣を刺激して複数の卵子を育てる「刺激法」と、卵巣の自力で卵子を育てる「自然法」です。

刺激法では注射投与か内服薬の服用がありますが、基本的には注射を使用することの方が多いです。注射の場合には採卵までに10回程通院するか、自宅で自己注射を行うことになるでしょう。また自然に排卵をしないように、点鼻薬を使用して排卵の抑制も行います。

エコーで診て卵胞が大きく育ったら、採卵手術のおよそ36時間前に病院でhCG製剤の注射をして卵子の成熟を促すのです。この注射には卵子を成熟させ、精子と受精できる状態へと変化させる効果があります。

(排卵誘発剤については以下の記事も参考にしてみてください)

排卵誘発剤とは?注射が内服薬より良い?種類や費用、副作用は?体験談も!

体外受精(IVF)のスケジュールと治療の流れは?【採卵手術当日のスケジュールと手術の流れ】

前周期で育てた卵子を精子と受精させるために採卵手術を行います。採卵手術は通常日帰りで行われることがほとんどです。排卵誘発剤の副作用等で卵巣が腫れていたり、お腹に水が溜まったりする場合は入院となります。

採卵方法は膣内から卵巣に向かって針を刺し卵子を吸い出します。針を刺す時に痛みがあるので静脈麻酔か下半身のみ麻酔をかけられるのが通常です。採卵手術自体は10分~30分程度で終了します。その後麻酔が切れるまでベッドで安静にしてから帰宅が可能となるのです。

採卵日にはなるべくフレッシュな状態で卵子と受精させるために、パートナーである精子も準備が必要です。あらかじめ自宅で採精してから持ってくるか、来院して病院で採精します。

男性不妊等の場合で採精できない場合には、精巣から精子を採取する手術が行われるのです。また事前に採精した精子を凍結保存しておいて、採卵日に合わせて融解して使用する方法もあります。

カズヤ先生

産婦人科医

この処置を行っているときに合併症として危険なのが卵巣過剰症候群という疾患です。これは腫大した卵巣と血管透過性の亢進を基本とする病態です。症状は、卵巣の腫大と、軽度の腹水貯留による腹部膨満感、悪心、嘔吐などです。最悪の場合、急性呼吸促迫症候群やDIC(播種性血管内血液凝固症候群)などを引き起こし生命の危険が及ぶことがありますので、産婦人科専門医の元、最新の注意が必要です。

体外受精(IVF)のスケジュールと治療の流れは?【移植手術までのスケジュールと胚培養の流れ】

卵子をシャーレ(皿)に入れ、その上に精子を振りかけて受精するのを待ちます。受精が確認された場合はそのまま初期胚か胚盤胞まで培養を続けるのです。初期胚は受精後2~3日目の分割胚というもので、胚盤胞は受精後5~6日目の培養が進んだ胚のことをいいます。

胚盤胞になる確率は受精卵の約30~50%程です。培養が進んでいるかの確認連絡は「通院時」「電話」「メール」など病院によってさまざまです。

出典:https://www.pinterest.jp/pin/4151824640209411/

移植に適した子宮環境を作るために、「内服薬の服用」「膣錠」「テープ剤」を使用します。これによって体を排卵後の状態へと変化させ、通常の高温期と同じホルモンを補うのです。

体外受精(IVF)のスケジュールと治療の流れは?【移植手術当日のスケジュールと手術の流れ】

受精卵の分割が進み良好な胚になったら、いよいよ子宮内へ移植を行います。採卵と同じ周期に行われる新鮮胚移植では、子宮内が移植に適している環境になっていることが移植の条件です。もし子宮内膜が薄かったり、採卵後に卵巣が腫れて水が溜まっていたりしたら移植はできません。その場合は、胚を凍結させ次周期以降での移植となります。