母乳不足のサイン。赤ちゃんに出る症状での見分け方は?足りない場合に増やす方法も

【医師監修】母乳が足りているか心配になることってありますよね。母乳不足になる母側の医学的な原因や、赤ちゃんの母乳不足のサインや勘違いしがちな症状を説明します。母乳不足の対処法を母側・赤ちゃん側の原因別に紹介。母乳量・質を向上させる方法もポイントごとに紹介します。

Contents
目次
  1. 母乳が十分出ずに不足する原因は?
  2. 赤ちゃんの母乳不足のサインは?
  3. 母乳不足と勘違いしがちな症状
  4. 母乳不足の際にするべきことは?
  5. 母乳の量を増加、質を向上させる方法はある?
  6. 母乳不足の判断は難しい

母乳が十分出ずに不足する原因は?

母乳はミルクと異なり中身が見えないため、赤ちゃんがどれくらい母乳量を飲めているのかわかりづらいですよね。母乳は出産すれば誰でも出ると認識されがちです。しかし、新米ママの中で稀に医学的な要素が原因で母乳が足りない・出ない方もいますよ。どんな状態なのか以下で説明しますので、気になる方は参考にしてみてくださいね。

出産時の状態

出産時に出血が多かったり、胎盤片が子宮に残っていたりすると母乳分泌が困難になる可能性があります。出産時の出血量は500ml以上の場合が多いと定められています(※1)。通常であれば産後2~3日で乳房が張ってきますが、失血や胎盤片の遺残があると母乳がなかなか作られ始めないことがありますよ。

母乳マッサージなど対策の方法もあります。入院中であれば助産師・看護師へ相談するのが良いでしょう。

既往歴がある

ホルモン障害を引き起こすような既往歴があると、母乳不足になる可能性があります。具体的に、多嚢胞性卵巣症候群・糖尿病・甲状腺の病気などです。これらの病気を経験していても母乳量が十分足りるママもいますよ。直接授乳に成功している方も多いので、主治医に相談してみましょう。

乳房の形成不全

乳房の形成不全が原因で母乳が足りない場合があります。稀なケースですが、形成不全だと母乳を分泌する組織自体がないことがあります。そのような場合は産婦人科医へ相談し、母乳育児の可否について決定が必要になるでしょう。母乳はあくまで授乳のツールなので、他の方法で授乳をしてみましょう。

乳房の手術や損傷

出産前に病気やケガなどで乳房の手術や損傷をした場合、母乳不足になる場合があります。しかし病気などで乳房を摘出していたとしても、母乳育児に関しては問題ありませんよ。乳腺炎になりやすいですが、患側でない方の乳房で母乳をあげられます。過去に病気やケガをしたからと母乳育児をあきらめず、主治医へ相談してみてくださいね。

(母乳の成分については以下の記事も参考にしてみてください)

母乳の成分は?作られる仕組みや、おっぱいの栄養素・カロリーなどを解説!

赤ちゃんの母乳不足のサインは?

赤ちゃんへ母乳が足りない状態は、どう判断するべきか悩みますよね。この項目では、具体的に母乳不足のサインをポイントごとに説明します。普段の赤ちゃんの様子を見ていればわかりそうですが、育児中はなにかと慌ただしいですよね。

母乳が足りているか判断しかねている場合は以下の項目を確認してみてくださいね。あくまで目安となりますので、心配な場合は小児科へ相談してみましょう。

おしっこやうんちの回数

赤ちゃんのおしっこやうんちの回数は、母乳不足の判断材料になります。おしっこが1日6~8回、うんちが1日3~8回が新生児期の目安ですよ(※2)。おしっこは色が薄く、においも少ないです。またこの時期のうんちはおしっこと同じくらいの頻度で出ます。おしっこが濃い黄色でうんちの回数が足りない場合は、母乳不足の可能性が高いでしょう。

体重の増減

赤ちゃんの体重の数値変化を目安に、母乳不足かどうか判断しましょう。赤ちゃんは生理的体重減少により、出生後は体重が減ります(※3)。通常は体重減少が出生3日目くらいで落ち着き、10日目くらいには体重が出生時の数値に戻りますよ。平均で1日あたり18~30g体重が増えるので、数値を下回る場合は母乳不足の可能性が高くなりますね。

赤ちゃんの体重は、退院後でも産院へ測りに行くことができます。また1g単位まで測れる赤ちゃん用のスケールのレンタルもありますよ。自宅で測りたい方は、レンタルなども活用してみましょう。

渡邉恵里

小児科医

赤ちゃん用のスケールは便利ではあるものの、排泄や哺乳の状況で1日1日の体重変化は大きいので親御さんが左右されがちです。どうしても家庭で確認したい場合は、1週間毎の評価をするといいでしょう。WHOは、母乳育児での体重増加は生後6ヶ月までは1週間に100〜200gの増加を目安としています。