赤ちゃんの中耳炎の症状の見分け方は?耳垂れ・発熱・痛み?治療法も!

赤ちゃんの多くがかかる病気に中耳炎があります。耳の病気とは分かっていても、具体的にはどんな症状でどんな治療をするのか。中耳炎の種類、原因、症状、治療法から自然治癒(ちゆ)まで、さまざまな角度から赤ちゃんの中耳炎について説明します。

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Contents
目次
  1. 中耳炎とは?うつる病気?
  2. 赤ちゃんの中耳炎の種類・原因
  3. 赤ちゃんの中耳炎の症状の見分け方!耳垂れ・発熱・痛みなど
  4. 赤ちゃんの中耳炎の治療 自然治癒はしない?
  5. 赤ちゃんの中耳炎の予防法
  6. 赤ちゃんの中耳炎について知っておこう

中耳炎は病気です。放置していいというとわけではありません。赤ちゃんに痛みや発熱が出て耳を触ったりしたら中耳炎を疑い、小児科か耳鼻咽喉科で診てもらってください。

ただ軽症の場合、自然に治る場合があります。もちろん、全て自然治癒するとは限らないので放置は禁物です。

赤ちゃんの急性中耳炎 基本は服薬

急性中耳炎にかかると、中耳の中で細菌が繁殖して炎症を起こしていることが多くあります。病院で診察を受けると、細菌の繁殖を抑えるための抗生物質などの薬を処方されるでしょう(※2)。

また、急性中耳炎では耳に強い痛みを感じるケースが多く、赤ちゃんにはとてもつらいでしょう。痛みや炎症を和らげる鎮痛解熱剤などの薬が処方されたりします。(※2)

治療の基本は服薬です。ただ、軽症のときは3日程度、様子を見ましょうと医師が判断する場合もあります。抗生物質を使わずに鎮痛剤で症状を抑えて経過をみるためです。抗生物質の安易な使用で薬が効かない耐性菌を生み出す恐れがあるからです。


処方された抗生物質はしっかり服用

抗生物質が中耳内の細菌に効果を発揮すると、一気に症状が治まっていく場合があります。しかし、注意したいのが抗生物質の服用を途中でやめてしまうことです。

抗生物質の服用を途中でやめると、抗生物質に耐性を持った細菌を増やしてしまう恐れがあります。加えて、すべての細菌が排除されずに中耳内に少量でも残ってしまうと、中耳炎が再発したり、滲出性中耳炎になったりするなど病気が長引く恐れがあります。

中耳炎が長引いてしまうと将来的には聴力に影響を及ぼす恐れがあります。

薬は医師の指示に従って適切に服用しましょう。

重症の場合は鼓膜切開も

中耳内に大量の膿がたまってしまうと、赤ちゃんは常に強い痛みを強いられます。また、膿がたまっていると高熱も続くため、体への負担も相当です。このように中耳炎が重症化した場合は、症状を改善するために鼓膜切開に踏み切ることがあります。

鼓膜を切開してしまうと、聴力が低下してしまうのではと不安になるかもしれません。しかし、皮膚に傷がついてもやがて自然に治っていくように、鼓膜は傷ついてもやがて自然に再生していきます。

鼓膜切開は局所麻酔をして行うので、痛みのことはさほど心配しなくてもいいでしょう。

滲出性中耳炎の治療

滲出性中耳炎は鼻や喉(のど)に何らかの問題があり、結果として耳と鼻を結ぶ耳管がうまく機能せず、中耳に液体が溜まってしまうことで起こります。このため、滲出性中耳炎は鼻や喉の病気の治療と滲出液を減らすという治療が必要になります(※2)。

鼻水を常にすするようなアレルギー性鼻炎から、滲出性中耳炎になるケースがあります。この場合は、アレルギー対策が必要です。また、鼻水がたまりやすい赤ちゃんは鼻水を吸い出してあげなくてはなりません。鼻水をコントロールする薬を服用することもあります。

耳管が詰まっている場合は耳管通気という治療法があります。鼻から耳管へ強制的に空気を送って耳管を開かせ、たまった液を排出させる処置です。それでも中耳内の液体が排出されない場合は、急性中耳炎同様に鼓膜切開を行って強制的に排出させることもあります。

赤ちゃんの中耳炎 多くは自然治癒

これまで中耳炎の治療法について説明してきました。

ただ、中耳炎については自然治癒するともいわれています。赤ちゃんの中耳炎はほとんどが軽症なので自然と治ってしまう赤ちゃんも多いのです。

中耳炎にかかった赤ちゃんの主な症状は痛みと高熱です。このため解熱鎮痛剤だけを使用して経過をみたりします。

一方、赤ちゃんへの抗生物質の安易な使用は控えるべきだという意見もあります。抗生物質が効かない薬剤耐性菌の発生を予防するためです。欧米では抗生物質の使用は限定的です。

ある小児科医は「ほとんどの中耳炎は、抗生物質を使わなくても鼓膜切開をしなくても自然に治る」と指摘しています。その上で2日間程度の経過観察から抗生物質(全体の10%)、鼓膜切開(全体の1%)というオランダの治療方針を紹介しています。

日本では、中耳炎についての治療法が病院やクリニックによって異なるようです。近くの小児科や耳鼻咽喉科はどんな治療方針なのか、ホームページなどで調べて事前に知っていた方がいいかもしれません。

赤ちゃんの難聴は発達に影響も

あまりに中耳炎が長引いて難聴が続くと、言語の発達に影響を及ぼす恐れがあります。赤ちゃんは周りの人の言葉を聞いて、学習を続けているからです。

中耳炎は大半が自然治癒ともいわれていますが、中には何度も中耳炎を繰り返す子もいます。原因としてアレルギーなどが潜んでいる可能性場があります。専門医に相談した方がいいでしょう。

赤ちゃんの中耳炎の予防法