母乳過多の対処法は?赤ちゃんへの正しい授乳方法や搾乳の仕方が大切!

【医師監修】赤ちゃんが飲むよりも多く母乳が出過ぎることで悩んでいるママのために、母乳過多の症状・原因や、ママや赤ちゃんへの影響などを紹介します。授乳方法や搾乳の注意点など母乳過多の対処法や、ママたちの体験談も参考にしてみてくださいね。

専門家監修 | 小児科医 富田規彦
富田こどもクリニック院長。父がこの地に開業して以来、地域の子どもたちの健康を守り、すこやかな成長発達のお手伝いが出来るよう、診療全般にわたって、予防接種、育児指導などに取り組んできました。...
富田こどもクリニック院長。父がこの地に開業して以来、地域の子どもたちの健康を守り、すこやかな成長発達のお手伝いが出来るよう、診療全般にわたって、予防接種、育児指導などに取り組んできました。 少しでも多くの方達に正しい情報をお届けしたいと考えております。 富田こどもクリニックHP

目次

  1. 母乳過多(母乳分泌過多症)とは?おっぱいが出すぎ?
  2. 母乳過多の症状は?
  3. 母乳過多の原因は?
  4. 母乳過多になるとどうなる?赤ちゃんが上手に飲めない?
  5. 母乳過多の対処法!授乳方法や搾乳の注意点など!
  6. 母乳過多に関するママたちの体験談!
  7. 母乳過多の悩みは母乳外来で相談しよう!

母乳過多(母乳分泌過多症)とは?おっぱいが出すぎ?

母乳過多(母乳分泌過多症)とは、赤ちゃんが飲む量以上にママの母乳が出すぎることです。生後1週間程度は、赤ちゃんが飲む量よりもママの母乳の分泌が多いのは普通です。しかし、その後生後2~3ヶ月になっても、ママの母乳が赤ちゃんが飲む量を大きく超えている場合を、母乳過多と呼びます。(※1)

母乳過多の場合は授乳の後もおっぱいが残ってしまうことがあります。そのため、乳腺炎になりやすいのです。

(母乳については以下の記事も参考にしてみてください)

母乳はいつまで出る?卒乳・断乳後も止まらない原因は?分泌を抑える方法も!

母乳過多の症状は?

母乳過多の場合は授乳の後もまだ母乳が残っていることが多くあります。そのため、おっぱいが張って痛くなる、母乳があふれやすいという症状が起こりやすいのです(※1)。母乳パッドがすぐに濡れてしまって1時間に1回は変えなくてはならない場合は、母乳過多と考えていいでしょう。

(授乳間隔や回数については以下の記事も参考にしてみてください)

生後3ヶ月の授乳間隔・回数は?母乳・ミルク別の量や注意点!体験談も

母乳過多の原因は?

母乳過多になる原因にはなにがあるのでしょうか。対処法を知るためにも、まずは原因について紹介します。

ママの体質

母乳過多の原因には、ママの体質が大きく関連しています。もっとも多い原因は、乳腺が発達がよすぎることです(※1)。乳腺が発達していると作られる母乳の量も多くなりますが、乳腺の発達具合はママの体質によって決まるのです。

また、オキシトシン反射が強いというのも原因の一つです。オキシトシンというホルモンの分泌は、おっぱいから母乳を外に出す反射作用のことです。これが強いことによって母乳過多になることがあります。

赤ちゃんが飲めている量が少ない

赤ちゃんの飲む量が少なかったり吸う力が弱いと、母乳が余ってしまうことがあります(※1)。また、赤ちゃんが集中できない環境での授乳により、途中で飲むのをやめてしまう場合もあるのです。そうすると、赤ちゃんが飲む母乳の量は少なくなり、母乳が余ってしまいます。

授乳方法が適切でない

母乳の分泌は、赤ちゃんに吸われることで起こります。必要以上に頻繁に授乳をしたり、搾乳をすると、母乳過多につながることがあります。(※1)

授乳方法として、左右のおっぱいを交互に飲ませるよう指導されたことのあるママも多いのではないでしょうか。授乳の最初に分泌される母乳は薄く、赤ちゃんに吸われることでだんだんと濃くなります。

左右のおっぱいを交互に飲ませる授乳方法だと、栄養分の濃い母乳になる前にもう片方のおっぱいに変えてしまっている場合があります。そうすると赤ちゃんが満足できずに余分におっぱいを吸ってしまうこともあるのです。それが母乳過多につながるという説があります。

必要のないおっぱいマッサージ

母乳過多でたくさん母乳が出ている場合でも、赤ちゃんの機嫌が授乳後に悪くなったり便の出が悪くなることもあります。すると、ママは母乳が足りていないと勘違いしてしまうこともあります。自己流でマッサージをして母乳分泌を増やそうとしてしまうかもしれません。

しかし、母乳不足ではなく母乳過多の場合は、マッサージすることでより一層分泌量を増やしてしまうことにつながります。

甲状腺の病気など

まれな例ですが、甲状腺の病気の症状としてプロラクチンというホルモンが異常分泌されていると、母乳過多の原因になります(※1)。

(母乳分泌の仕組みについては以下の記事も参考にしてみてください)

母乳は血液からできてる?なぜ白い?出る・作られる仕組みや成分を徹底解説

母乳過多になるとどうなる?赤ちゃんが上手に飲めない?

母乳過多になるとどのような問題があるのでしょうか。母乳過多にともなう赤ちゃんとママそれぞれのトラブルについて紹介します。

赤ちゃんがうまく飲めない

母乳過多によって母乳の出がよすぎると、赤ちゃんがうまく飲み込めずにむせたり吐いたりすることがあります。また、飲み過ぎによってお腹が張り、その不快感から授乳後に機嫌が悪くなる赤ちゃんもいます。

低月齢の赤ちゃんの吐き戻しは、誤飲や窒息のおそれがあるため注意したい症状です。

(赤ちゃんのげっぷについては以下の記事も参考にしてみてください)

母乳育児もげっぷは必要?出し方のコツや授乳中に寝落ちした時の対処法も!

赤ちゃんの体重が増えない

母乳過多にもかかわらず赤ちゃんの体重が増えないことがあります。赤ちゃんの体重が増えない原因の1つは、赤ちゃんが満足のいく母乳の量を飲めていないからです。母乳の分泌が多いとおっぱいに母乳が残って乳房が硬くなります。乳房が硬いと赤ちゃんはとても飲みづらくなり、満足いく量の母乳を飲めなくなるのです。

もう1つの原因は、母乳の成分です。授乳の最初の方の母乳は脂肪分が少なく、後半の母乳は脂肪分が多くなります。赤ちゃんが最初の方の母乳だけで満足して飲まなくなると、脂肪分の少ないおっぱいだけを飲んでいることになるのです。脂肪分の少ないおっぱいだけを飲んでいるため、体重が増えないのです。

富田規彦

小児科医

体重の変化を記録しておくことは、栄養状態や病気を評価するのに役立ちます。可能であれば半月ごとに同じ条件(オムツ一枚にするなど)で計測して下さい。

赤ちゃんが母乳を消化しにくい

上記のとおり、母乳過多が原因で脂肪分の少ない母乳を大量に赤ちゃんが飲んでいる場合があります。そうすると、赤ちゃんの消化器官が乳糖過多の状態になってしまい、おならが出やすくなったり、ゆるい便や緑色の便が出たりします。

ママの乳腺炎

母乳過多はママにとって深刻なおっぱいトラブルにつながることがあります。授乳後に残ってしまった母乳の脂肪分が、おっぱいの母乳の出口をふさぐと、乳腺炎を引き起こすこともあるのです。乳腺炎になると、強い痛みを感じることもあります。

乳腺炎とは、母乳が残ることで起こる炎症のことです。乳腺炎になると痛みや発熱の症状がでます。授乳中に強い痛みが出ると、授乳をやめたくなるかもしれません。しかし、溜まった母乳をそのままにすると、痛みの症状が悪化する場合があるのです。細菌感染による炎症の場合は、体のだるさや発熱があるため育児に大きな支障が起きます。

(乳腺炎の症状や予防については以下の記事も参考にしてみてください)

乳腺炎を予防する食事とは?母乳つまりにいい食べ物・控えるべきものも紹介!

母乳不足につながることも

母乳は赤ちゃんが乳首を吸う刺激で分泌されます。しかし、赤ちゃんが吸う刺激がなくても母乳が出る母乳過多の状態が続くと、次第に母乳がつくられるきっかけが失われるのです。そのため母乳不足につながることもあります。

母乳過多の対処法!授乳方法や搾乳の注意点など!

ママが乳腺炎になってしまうだけではなく、赤ちゃんの成長にも影響がある母乳過多は、なんとか対処したいですね。母乳過多の対処法として、授乳や搾乳の注意点などを紹介します。

母乳過多の対処法は、赤ちゃんにしっかり飲んでもらえるようにすることと、過剰におっぱいをつくらないようにすることの2点です。そのための授乳方法や授乳間隔などについて紹介します。

授乳方法

母乳過多の対処法の一つは、赤ちゃんがおっぱいを上手に飲めるように授乳方法を工夫することです。赤ちゃんの乳首のくわえ方が浅くなっていないかや、鼻をふさいでいたり姿勢が曲がってしまうことで赤ちゃんが苦しくないかを確認しましょう。

また、いつも同じ飲ませ方で授乳するのではなく、いろいろな抱き方を試してみましょう。一般的な横抱きだけでなく、縦抱きや一緒に寝転がって授乳する添い乳、フットボール抱きなどもあります。

赤ちゃんが授乳に集中できる環境作りも大切です。静かな場所で授乳するようにしてみましょう。

圧抜き

母乳過多の対処法は、赤ちゃんにしっかり母乳を飲んでもらうことです。しかし、母乳の勢いが良すぎたりおっぱいが張って固かったりすると赤ちゃんが飲みにくくなってしまいます。赤ちゃんが飲みやすい状態にするには、圧抜きが有効です。

授乳の前に、乳首の周りが少し柔らかくなる程度に搾乳してみましょう。片手でおっぱいを下から支えるように持ち、いろいろな方向から搾乳するようにします。時間としては、長くても2~3分以内に終わらせる程度がよいですね。

授乳間隔は3時間くらいに

授乳の間隔は、長すぎても短すぎてもよくありません。おっぱいの張るタイミングや授乳間隔は個人差がありますが、3時間くらいあけるとよいでしょう。

授乳の間隔が短いと頻繁に吸われることで、母乳の生産がさらに活発になる可能性があります。一方で授乳間隔が長すぎると、おっぱいの張りがひどくなって痛みや詰まりにつながるおそれがあるのです。

片側授乳もあり

授乳は左右交互に、両方を同じくらいの時間でという指導をされたことのあるママも少なくないでしょう。しかし、母乳過多の場合は片方ずつ飲み切るようにして授乳させる方がよいと言われています。飲み切ったかどうかの判断は難しいところですが、ママの感覚や赤ちゃんの様子から交代のタイミングを決めてよいでしょう。

一度の授乳が片側で終わってしまっても構いません。その場合は、次の授乳は飲ませていない反対のおっぱいから始めましょう。

搾乳の注意点

圧抜きのために搾乳することは大切ですが、搾乳しすぎるとかえって母乳の生産を促してしまいます。また、乳腺を傷つけて乳腺炎の原因になる恐れもあります。完全に搾りきってしまうのではなく「少し楽になった」という程度にとどめておきましょう。

搾乳は、乳腺や乳首を傷つけない方法で行いましょう。まずは、3本の指で乳頭から乳輪を持ちます。指は親指と人差し指、中指を使います。やさしい力で引っ張ったりもみほぐしたりひねったりして、乳管が開くようマッサージします。

次に反対の手のひらでおっぱいを支えるように下から持って、乳頭をつまみ搾乳します。このとき、親指と人差し指をつかって、おっぱいを押して圧をかけるイメージで行うようにしましょう。

母乳の分泌を抑制するハーブティー

ハーブティーの中には、母乳の分泌を抑制する作用が期待できるものがあります。母乳過多のママにとって、手軽にできる対処法といえるでしょう。

具体的には、ペパーミントやセージが母乳の分泌を抑制する作用のあるハーブティーとして知られています。ペパーミントは、母乳の分泌を抑えるだけでなく体を冷やす効果があります。また、おっぱいの張りや痛みを改善する効果もあるとされており、乳腺炎予防にもつながるのです。

セージは、ホルモンのバランスを調整したり、炎症を抑えたりするハーブティーです。こちらも乳腺炎のリスクが高い母乳過多のママにおすすめです。カモミールも、おっぱいの張りへの対処法としておすすめされるハーブティーになります。

母乳の質の向上

ママの食べたものによって、おっぱいの味が変化するという説があります。おっぱいの味が変化すると赤ちゃんが母乳を飲まない場合があると言われているのです。

質の良い母乳を作るためには、ごぼう茶などの血液をさらさらにする効果のある食べ物を取り入れましょう。脂っこいものや乳製品などを過剰に摂取することは乳腺炎の原因につながります。乳腺炎予防には、栄養バランスのとれた和食がおすすめです。

母乳過多に関するママたちの体験談!

産後半年ママ

30代

溜まってくるとすぐに乳腺炎になってしまうので、こまめな搾乳が欠かせません。食事とか工夫してなんとかがんばっています。赤ちゃんは授乳中に眠そうにするんだけど、途中で溺れたみたいになってしまって眠りにくいそう。

産後4ヶ月ママ

20代

過分泌で、おっぱいは張って痛いし油断するとすぐに服まで濡れてしまってたいへんです!でも母乳不足で悩んでいる人が多いので「出るだけいいじゃない」ということを言われてしまいます。人に相談できない、理解されないっていうのも地味につらいです。

2人目妊娠中

30代

2人目がもうすぐ生まれるけれど、またあの母乳過多や乳腺炎との闘いかと思うと、ミルク育児にしようかと考え中です。でも、1人目の時は生後半年くらい経って、間隔があくようになったら落ち着いてきたから、それまでがんばろうか…悩みます。

産後1年ママ

20代

母乳過多でしたが、改善されました。ほしがっているようならすぐに母乳を飲ませていたのですが、授乳間隔を3時間と決めて、その時間が来るまでは絶対にあげないようにしました。徐々におっぱいの張りが落ち着いてきて、1歳になる今まで母乳過多に戻ってしまうこともなかったです。

母乳過多のママには、乳腺炎を常に警戒している人が多いですね。乳腺炎予防のためにママたちは、搾乳や授乳の間隔をあけて母乳の製造を減らす工夫をしています。マッサージや食事、授乳姿勢などの対処法をいろいろ試しても変化がなく、どうしてもつらい場合には母乳をやめてミルクでの授乳に切り替えるという選択肢もありますね。

母乳過多の悩みは母乳外来で相談しよう!

母乳外来では、医師や助産師などに母乳の悩みを相談できます。いろいろな方法を試してみても変化が見られない場合、専門家を頼ってみるのも有効な対処法です。おっぱいや授乳の様子をみてもらい、具体的なアドバイスを受けることができるでしょう。

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