エストロゲンとは?どんな作用がある?減ると更年期障害が始まる?
【医師監修】エストロゲンとは、どんな女性ホルモンでどんな作用があるのでしょうか。エストロゲンが減ると更年期障害が始まるのでしょうか。妊娠・出産にも深く関わっているというエストロゲンについて、ドクターの助言を交えて説明します。妊活中の方はぜひ参考にしてください。
生活習慣が乱れるとエストロゲンの分泌が減少したりします。
エストロゲンは女性を美しく見せたり、妊娠出産に欠かせないホルモンで、分泌量の減少が様々な病気の原因となってしまうことが分かっています。エストロゲンをきちんと分泌させることは、女性の一生を左右すると言っても過言ではないでしょう。
しかし、睡眠不足など生活習慣が乱れるとエストロゲンの分泌に悪影響を及ぼしてしまいます。まずは規則正しい生活が大切です。質の良い睡眠を取れるよう、心がけましょう。また、体の冷えはホルモンバランスを乱します。冷え性の人は特に注意が必要です。暖かい飲み物を飲むことやゆっくりと湯船に浸かること、冷えとりのための下着などで対策しましょう。
エストロゲンの減少が気になるという人には、大豆製品をおすすめします。大豆に含まれる大豆イソフラボンという成分には、エストロゲンと似た働きをすることが分かり、更年期障害や骨粗鬆症、動脈硬化などの予防や治療に効果があるのではと注目されています。
エストロゲンがもたらす作用とは
何となく妊娠や出産にはエストロゲンが重要だと分かってはいても、実際に女性の身体にどのように作用するのかは詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。エストロゲンがもたらす効果や作用についてみていきましょう。
エストロゲンは妊娠に大きな役割
エストロゲンは妊娠に大きな役割を果たしています。その働きを説明します。
まず、脳の視床下部より、下垂体を刺激するホルモンが分泌されます。分泌されたホルモンに下垂体が反応、卵胞刺激ホルモンが分泌されます。卵胞刺激ホルモンに卵巣が反応し、卵巣に貯蔵されている卵胞の中から、10〜20個の卵胞が成長を始めるのです。
卵胞の成長が進んでいくと、卵胞からエストロゲンが分泌され、子宮内膜が厚くなり始めます。子宮内膜は受精卵が着床するためには、なくてはならない受精卵のベッドのようなものです。できるだけ厚く、フカフカのベッドを作って着床に備えたいところです。この時期にエストロゲンがうまく分泌されていないと子宮内膜が発達せず、妊娠しづらくなってしまいます。
また、エストロゲンは精子が子宮の中へスムーズに入れるよう頸管(けいかん)粘液の分泌を促し、受精の手助けをします。このように、エストロゲンは妊娠準備に欠かせないホルモンなのです。
美容面でも大きな役割
美容面でもエストロゲンは大きな役割を果たしています。エストロゲンには、女性特有の丸みを帯びた体にする作用や艷やかな髪を作る作用もあります。また、肌の表面の角層に水分を保持する作用もあり、潤いを保ち、肌荒れ、ニキビの悪化や増加を防ぐ作用があるのもエストロゲンです。エストロゲンの減少は、美容面からも避けるべきだということが分かります。
健康にも欠かせないホルモン
エストロゲンは女性の健康にも欠かせないホルモンです。
骨の内部では骨を作る骨芽細胞と骨を壊す破骨細胞が活動し、カルシウムが不足すると骨から溶かして使い、余ると骨に蓄えます。エストロゲンには老化した骨を更新させ、弾力のある骨を維持する働きがあります。破骨細胞の働きを抑制し、丈夫な骨を保っているのです。高齢女性に骨粗鬆症が多い主な原因も、エストロゲンの減少によるものといわれています。
また、エストロゲンには血管の収縮を抑制する働きもあります。悪玉コレステロールを抑え、動脈を直接柔らかくしています。エストロゲンが減少すると動脈硬化のリスクが高まってします。エストロゲンの分泌は妊娠・出産で上下するので、妊娠中や出産後は骨粗鬆症やコレステロールにも注意が必要です。
エストロゲンは子宮内膜を作りますが、子宮以外のところで子宮内膜とよく似た組織を作ってしまうことがあります。これが子宮内膜症です(※1)。月経周期が短く、月経期間が長い人は子宮内膜症になりやすいといわれています。
精神面にも作用
エストロゲンは精神面にも作用します。エストロゲンには自律神経をコントロールし、脳の働きや感情の浮き沈みも整えている作用もあります。衝動や依存症などを抑えるセロトニンを活性化させる働きがあり、うつ状態をなるのを防いでいます。意欲の増進、気分の改善、行動の活発化、精神機能の上昇により楽観的で積極的になるよう、働きかけている言えるでしょう。
エストロゲンが減るとどうなる?
エストロゲンの分泌が減ると、身体や精神面で作用していた機能が停止し、心身に様々な不調をきたしてしまいます。
月経周期による一時的な減少は正常なことです。しかし、長期的な減少は肌の調子が悪くなり、身体がむくみ、イライラしたり、骨が弱くなったりします。それに付け加え、生理不順や妊娠しにくくなるなどの生殖機能にも影響を及ぼします。
閉経前の女性はエストロゲンの分泌の低下により、生理不順が起こりやすいと言えるでしょう。
エストロゲンの減少は更年期障害に関係
エストロゲンの減少は更年期障害に大きく関わっています。更年期とは、卵巣の活動が徐々に低下し、月経が永久に停止する閉経前後の5年間を指します。この期間に現れる様々な症状のうち、他の病気を伴わない症状を更年期障害といいます(※2)。
更年期障害の主な原因は、閉経によるホルモンバランスの乱れといわれています。更年期障害が始まるとされるのは45歳くらいで、女性は卵巣の機能が低下し始めます。その結果、卵巣から分泌されているエストロゲンの分泌が減少するのです。
結果、エストロゲンの減少、卵胞刺激ホルモンの増加というホルモンバランスの乱れが生じ、めまい、動悸、のぼせといった身体症状からイライラしやすい、落ち込みやすいといった精神症状まで、心身両面に様々な症状が現れます。これが、更年期障害の症状です。
更年期のエストロゲンの減少は長期的なものです。体調でも精神面でも長く続くとどんどん悪化するので、更年期障害は注意しなければいけません。
女性
40代前半
なんか「更年期障害」という呼び名にトゲを感じるよね。生理的な現象で仕方がないことなのに。もうちょっと理解を得られそうで女性が傷つきにくい呼称を誰か考えてほしい!
リエ先生
産婦人科医
閉経状態かどうかの指標としてはエストロゲンの減少とFSH(卵胞刺激ホルモン)増加があります。具体的にはエストロゲンが20以下、FSHが40以上で生理が止まっていれば閉経と考えます。
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