エストロゲンとは?どんな作用がある?減ると更年期障害が始まる?
【医師監修】エストロゲンとは、どんな女性ホルモンでどんな作用があるのでしょうか。エストロゲンが減ると更年期障害が始まるのでしょうか。妊娠・出産にも深く関わっているというエストロゲンについて、ドクターの助言を交えて説明します。妊活中の方はぜひ参考にしてください。
そもそもエストロゲンとは?
女性ホルモンと一口に言っても、その種類は大きく2つに分かれていることはご存知ですか。エストロゲンと呼ばれている卵胞ホルモンと、プロゲステロンと呼ばれている黄体ホルモンです。
エストロゲンは卵胞から分泌される女性ホルモンのことです。女性特有の身体や機能を作るための働きがあります。「エストロゲンの分泌がピークに達すると発情する」と言われたことから、ギリシャ語の「estrus(発情)」と「gen(生じる)」が語源になっています。
一方、もう一つの女性ホルモンのプロゲステロンには、子宮内膜を整えるという役割があります。
リエ先生
産婦人科医
エストロゲンは女性ホルモンのひとつで、排卵日に近づくにつれて一過性に上昇します。生理周期の中でも上がり下がりしますが、閉経が近づくと低下します。
エストロゲンの分泌の仕組みについて
妊娠出産に大きな影響を与えるのがエストロゲン(卵胞ホルモン)です。主に年齢によってその分泌量は増えたり減ったりします。どんなタイミングでエストロゲンは分泌されていて、その分泌量は変わっていくのでしょうか。エストロゲンの分泌の仕組みについて詳しくみていきましょう。
エストロゲンとプロゲステロンの交互分泌で生理周期
エストロゲンとプロゲステロンの2つの女性ホルモンが交互に分泌することで生理周期を作っています。このため、2つのホルモンが正常に分泌されていないと、生理不順が起こる恐れがあるのです。
エストロゲンの分泌は生理が終わる頃から多くなり、排卵直前にはピークを迎えます。エストロゲンの分泌量が多いこの時期を卵胞期と言います。生理が近づくと肌が荒れ気味になり、生理後は肌質が良くなるといった経験はありませんか?これはエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が正しい生理周期で変化している証拠といえます。
エストロゲンが少なく、プロゲステロンが多く分泌されている時期は月経前症候群といいます。肌荒れ以外にも人によっては、イライラしたり憂鬱になったり、身近な人に八つ当たりしてしまうなどの不調があります。
(生理とホルモンの関係については以下の記事も参考にしてください)
妊娠・出産でエストロゲンの分泌量は大きく変化
妊娠・出産でエストロゲンの分泌量は大きく変化します。妊娠するとエストロゲンの分泌量が増えます。無事出産が終われば大量のエストロゲンは不要になり、正常値を取り戻そうと急激に減少するのです。
このため基準の値を下回ってしまうことがあります。あまりにも急な変化に体はついてけず、色々な部分で不調が現れやすくなります。妊娠や出産に生じる体調の変化にも、エストロゲンが深く関わっていると言えるでしょう。
また、エストロゲンが分泌中の生理後は肌質が良くなるため、、エストロゲンは別名「美のホルモン」とも呼ばれています。一方、プロゲステロンが分泌中の生理前は肌荒れになりますが、妊娠に必要なホルモンです。プロゲステロンは「母のホルモン」とも呼ばれ、妊娠中はエストロゲンとプロゲステロンがフル稼働しています。
女性
20代前半
顔にニキビがポツポツ…。これは…もうすぐ生理来るわ。
(妊娠とエストロゲンの関係については以下の記事も参考にしてみてください)
エストロゲンの分泌は基礎体温から推定
エストロゲンが正常に分泌されているかどうかは、基礎体温からも推定できます。もちろん婦人科に行ってホルモン検査をすれば正確な値を知ることができます。しかし、なかなか時間が取れないという方も多いでしょう。基礎体温なら自分でエストロゲンの分泌を確認できます。その仕組みは次のようなことです。
生理が近づく卵胞期は体温が低くなるので、低温期はエストロゲンが分泌されていることが分かります。排卵直前の体温がポンと上がる前日あたりはエストロゲン分泌のピークです。排卵後は分泌量が徐々に低下していきます。
一方、高温期にはプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されています。基礎体温が低温期と高温期にきちんと分かれているかどうかで、女性ホルモンがうまく分泌されているかが分かるでしょう。
基礎体温は生理不順の原因解明、生理予定日や妊娠の目安にもなります。女性ホルモンが正常に分泌されているかどうかを知る意味でも、基礎体温を毎日つける習慣を身につけることをおすすめします。
エストロゲンの分泌量は加齢とともに減少
エストロゲンの分泌量は加齢とともに減少します。エストロゲンの分泌が始まるのは思春期です。思春期を迎えるとエストロゲンの分泌が始まり、初潮が起こります。そして、20~30代にかけて卵巣は脳からの指令を受け、充分な量のエストロゲンが分泌されます。
しかし、年齢とともに、卵巣の機能が低下していきます。卵巣は脳からの指令に応えられず、充分なエストロゲンを分泌できなくなります。閉経前後の更年期には、エストロゲンの分泌量が急激に減少することによって、心身のバランスを崩すケースもあります。これが更年期障害と呼ばれる症状です。
更年期以降になるとエストロゲンの分泌量はさらに減少します。エストロゲンの減少が骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や認知症、冠動脈疾患といった、いわゆる「老年病」の原因になることが分かっています。
このようにエストロゲンは、妊娠・出産に限らず女性が健康的に一生を過ごす上でも非常に重要な役割を持つ存在なのです。
生活習慣の乱れにより減少するエストロゲンの分泌
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