育児放棄（ネグレクト）の種類別の実例や、原因・対処法は？子どもへの影響についても解説

育児放棄とは、保護者が子どもをほったらかしにして必要な育児をしない状態のことです。育児怠慢やネグレクトとも呼ばれています。育児放棄の判断基準はいくつかありますが、保護者にそのつもりがなくとも、子ども自身が十分に育てられていないと感じた場合は育児放棄です。

厚生労働省によると、育児放棄は「身体的虐待・精神的虐待・心理的虐待とならぶ虐待の1つ」とされています。ほかの3つが「子どもの心身に直接的な害を与える行動」であるのに対し、育児放棄は「子供どもに必要不可欠なものを与えず心身に間接的な危害を加える行動」です。育児放棄は軽い虐待ではなく、死に至る危険もあります。（※1）

子どもの世話をしないで放置し続けることによって、身体の成長に悪影響をもたらす可能性があります。衛生管理が栄養摂取が不十分な場合、健康的な成長を妨げてしまうかもしれません。また、精神面の成長にも支障をきたす恐れがあります。子どもの時に親から十分な育児を受けずに精神的な傷を負ってしまうと、発育や人格形成に問題が発生する危険性があります。

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育児放棄（ネグレクト）には大きく分けて2種類あります。子どもを養育するうえで必要な物理的・経済的条件が整っているにも関わらず意図的に放置する「積極的ネグレクト」と、知識不足や貧困が原因で子どもを保護できない「消極的ネグレクト」です。どちらも子どもへの注意が不十分ですが、根本となる原因が異なるので解決法も変わってきます。（※1）

もう少し細かく分類すると、育児放棄は5種類に分けられます。一般的ネグレクト（栄養ネグレクト・衣服ネグレクト・衛生ネグレクト）、情緒的ネグレクト・愛情遮断症候群、環境ネグレクト、教育的ネグレクト、医療ネグレクト・保健ネグレクトです。ここでは、5種類の育児放棄についての説明や判断基準とともに、実例をご紹介します。

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一般的ネグレクトとは、子どもに十分な衣食を与えていない虐待のことです。世間からも代表的なネグレクトとして知られています。具体的には、子どもに必要な栄養を与えない、オムツや衣服・身体が汚れていても綺麗にしない、極端に不潔な環境下で生活させるなどです。

栄養ネグレクトを受けている場合、十分な食事が与えられずに栄養失調や体重増加不良などの症状を引き起こします。暑い時期は特に脱水症に注意しなければなりません。衣服ネグレクトや衛生ネグレクトの判断基準は、着替えをさせてもらえないために衣服や体が臭い、髪の毛が痛んでボサボサである、オムツかぶれや湿疹がひどいなどです。

これらは他人から見てもわかりやすいので、乳幼児健診や幼稚園・保育園、学校などで育児放棄だと気づかれるケースが多くなっています。

情緒的ネグレクトとは、子どもの考えや行動に目を向けないことです。子育てに愛情は不可欠で、愛情が不足している状況に対して子どもは非常に敏感です。判断基準としては、子どもが生きるのに必要なものは揃っていても、保護者が子供と会話やスキンシップをせずに子どもの感情に寄り添わない場合は、情緒的ネグレクトであるといえます。

愛情遮断症候群とは、子どもの発達に必要不可欠な精神面のケアをしないことにより、成長障害や発達障害を引き起こすことです。具体的な症状としては、低身長・低体重、かんしゃく、愛情への渇望、コミュニケーション能力への支障などが挙げられます。

「発達障害的」「アダルトチルドレン」といった言葉は、情緒的ネグレクトを受けて育つことと関連して言われます。見た目では分かりづらく、保護者に自覚がない場合も多いので、ネグレクトを受けていると判断しづらいです。

環境ネグレクトとは、保護者の監視が不十分で子どもの安全がきちんと守られていないことです。判断基準としては、保護者が子どもを家に放置したまま何日も出歩く、車の中に子どもを置いたままパチンコなどの娯楽に興じているなどです。