育児休暇の男性取得率は?取得することでのデメリットがかなり多い?
政府が2024年までに男性の育児休暇率を13%にすると目標を掲げました。これは男性、女性ともに育児がしやすい社会を目指すための一環です。ところが男性の育児休暇取得率は目標に遠く及ばず。その背景には何があるのか、世界の動きと今後の可能性を探ってみましょう。
いま流行の「イクメン」。育児や家事に積極的に関わる男性のことですが、この関わり方に女性側からはいろいろとクレームもあるようです。たとえばちょっと手伝ったくらいで「イクメン」を気取って、毎日毎日育児は続くことを理解しないからよけい腹が立つ、といった辛辣な意見まであります。さておき、実際に毎日の育児に関わるとその大変さが実感できる、とは男性側からの意見です。想像と実際は大きく違っているわけです。
赤ちゃんのリズムは大人の生活リズムとは違います。朝も夜もなく「訴えたいこと(お腹が空いた、おむつが濡れているなど)」があると泣きます。赤ちゃんのリズムに添いながら、一方で日常生活のため、たとえば一方の配偶者が通常勤務をしている場合なら、食事の支度、家事などもこなさなくてはなりません。
また、子どもが急な体調不良を訴えたとき、夜中に駆けつける病院の少なさ、相談できる支援センターの人材不足、等等社会的な問題もやってみてはじめて意識することはたくさんあります。
男性が育児休業(休暇)を取得して、父親がかかわることの大切さや、社会環境への問題意識を持つことは、自分自身が社会人として成長することでもあります。言い換えれば、育児は自分も成長できる大きなチャンスなのです。育児への積極的な参加はデメリットではない、とう感じる男性は少しずつ増えてはいるようですが……。
夫婦で育児休暇を取る場合の収入の違いはどれくらい?
ひとつひとつ不安材料を見ていくと、男性が育児休業(休暇)を取得することはデメリットではなく、それ以上のメリットがたくさんあることがわかります。ですがいっこうに取得率が上がらないのはやはり収入面でのデメリットが大きく影響しているのかもしれません。
現在、育児休業(休暇)の期間に受け取れる給付金(助成金)は、開始日から180日までは基本給与額の67%。181日目からは50%が支給されることが定められています。ですから大きく収入が下がるというわけではありません。しかもこの給付金(助成金)に対しては非課税です。つまり育児休業(休暇)中は社会保険料や所得税が免除ですから、手取り額としては生活が困窮するほど減少することにはならないと考えられます。
しかも、夫婦で育児休業(休暇)を取得しても、ふたりともに給付金(助成金)は支給されますから問題はないのでは? と感じる方もいらっしゃるでしょう。
収入面の格差と強い固定概念が根本原因かも
日本の多くの会社では同じように働いている男女では、男性の給与のほうが高い傾向にあります。さらにこの傾向は年齢とともに大きくなります。その理由のひとつは、男性は年齢とともに昇進、昇級をし、給与額も高くなっていきますが、女性は昇進や昇給することが難しく、そのため年齢が上がっても給与額は大きく変わらないからです。その背景にあるのが出産です。出産後に正規労働から非正規労働へと変わる割合が女性のほうが高いため、昇進や昇給にもつながらないと考えられます。
同じ条件なら男性の給料のほうが高い?
2016年の男性と女性の賃金差についての調査結果を厚生労働省が発表しています。それによると女性の平均賃金は月額24万4600円です。この賃金は男性賃金の73%です。この数値にはさまざまなファクターが含まれています。これはパートやアルバイトなどのいわゆる非正規労働者も含まれた賃金であることや非正規労働は女性のほうが割合が高いことから正規が多い男性に比べて女性のほうが賃金が低いと言えます。
アイスランドでは同僚でも男性より女性の方が18%お給料がくすないことにたいする抗議活動が行なわれ、タダ働き(少ない18%分)の開始時間である2:38pmに仕事をやめ、数千人の女性が集結。(ちなみに日本の男女給料格差は世界ワースト3) pic.twitter.com/kZ2rkTj6j7
— Hina (@DHAOC3) October 27, 2016
ところが、正規労働者、同期入社で比べても女性の賃金は男性に及びません。つまり、同じように正規労働者として勤務している夫婦が育児休暇の取得を考えた場合、もちろん夫婦で休暇を取得することもあまり金額的に負担にはならないことが分かっていたとしても、男性より女性だけが休暇を取得したほうが、総収入月額は大きいわけですから、よほど二人で育児を充実させようという意識がないと、結果、女性が育児休暇を取得するという夫婦が多いと考えられます。
「仕事」は男性?「育児」は女性の役目?根強い役割分担イメージ
働く環境は男性も女性も同じであると法律でも定められています。しかし未だに社会的な背景として「育児」は女性の役目、働いて家族を支えるのは男性の役目とした役割分担のイメージが根強く残っているのも事実です。これには、子どもを出産できるのは女性だけだから、子どもを欲しいと願った夫婦にとって、母親となる女性が子育てに専念するのが自然だ、と考えられているからなのかもしれません。
昨年度の国家公務員の「男の産休」取得率は30.8%。この数字は高いのでしょうか、それとも低いのでしょうか。 - イクメンを見下す社会は手痛いしっぺ返しを食らう https://t.co/8vA7YPltZM
— ダイヤモンド・オンライン (@dol_editors) December 23, 2016
一方、公務員においてはこの考えは当てはまりません。男性は子どもを産むことはできませんが、育児やその後の子どもに関する行事においても積極的に男性が関わるべきだとする組織の風土が育ってきています。もちろん公務員の給与体系には男女の差はありません。ちなみに公務員の職場には基本的に育児休業(休暇)を男性が取得することに対する抵抗も少ないようで、男性の育児休業(休暇)取得率は9.5%です。
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