赤ちゃんが頭をぶつけた時の対処法は?泣かない時や嘔吐の際は?

【医師監修】赤ちゃんが頭を打つってそんなに危険なのでしょうか。お母さんが赤ちゃんを抱っこしているときでも、頭をぶつけることがあります。頭を打つ状況とはどんなときなのか、頭をぶつけたときの対応は?防止策は?今回は頭をぶつける危険をチェックし、ぶつけた後の対処を考えましょう。

Commentator
|
専門家監修
新井昇子
3歳男児と7歳女児の子育て中の小児科医です。現在は、魔法の子育てセミナー、個人セッションも行なっております。子育ての経験と心理学・医学的知識、・・・
> プロフィール詳細
Contents
目次
  1. 赤ちゃんが頭をぶつけた!どうする?
  2. なぜ頭を打つと危険なの?
  3. 赤ちゃんが頭をぶつけた時には慌てないことが大切
  4. 赤ちゃんが頭をぶつけた時にまず取るべき行動
  5. 赤ちゃんが頭をぶつけると泣くのが正常?ぶつけた時に泣いた場合
  6. 赤ちゃんが頭をぶつけた時に泣かない場合
  7. 赤ちゃんの頭を触って、ぶつける前にはなかった変化を確かめる
  8. 赤ちゃんが頭をぶつけた後に嘔吐するかを確認
  9. 頭をぶつける前とぶつけた後での変化を観察する
  10. 赤ちゃんが頭を打つ状況とは
  11. 赤ちゃんが実際に頭をぶつける前に用意しておくといいもの
  12. 赤ちゃんとの時間をもっと楽しむために

赤ちゃんが頭をぶつけた!どうする?

家族に赤ちゃんが加わって、はじめての子育ては何もかもが手探り状態。とくに赤ちゃんのケガをしたら、病気になったらどうしよう、とまだ何も起こっていないときから不安になる新米ママやパパも多いようです。そのなかでも振り返って考えると必要以上に慌ててしまったというのが「赤ちゃんが頭をぶつけた」ときのようです。

でも冷静に考えてみると、頭をぶつける、頭を何かで打つということは、誰もが経験すること。でも一方で、頭はとても重要な部位なので、強く打つなどダメージを受けると危険な状態になることも少なくありません。今回は危険な状態なのか、大丈夫なのか、慌てずに観察するためのポイントを紹介します。

なぜ頭を打つと危険なの?

大人でも頭を打つと危険だと認識している人は多いと思います。たとえば、手や足をどこかにぶつけたからといって骨折でもしていないかぎり、病院に駆け込むという人は少ないでしょう。でも頭の場合は、強くぶつけたというだけで、病院に行く人は少なくありません。

その理由は生命維持を司っている脳がある場所だから。硬い頭蓋骨に包まれるように存在している脳はお豆腐に例えられるくらい柔らかいものです。そのため頭を打つと脳になにか影響が起こったのではないかと不安になって多くの人が病院に行くのです。

特に頭を打つことに対して気をつけなければいけないのはなぜか

人の頭蓋は複数の骨から構成されていて、その分類は大きくは頭蓋骨と顔面骨に分類されます。そして頭蓋の骨はすべて縫合(ほうごう)によって連結されています。しかし成人と生まれた時とでは頭蓋骨の縫合などに違いがあります。成長するにつれ、骨どうしは徐々に癒合して硬くなります。

たとえば縫合の交わる部分、泉門と呼ばれるところは成長するにともなって骨化が進み、結合組織が閉じていきます。後部の泉門は一般的には生後8週までには閉じるとされていますし、前部の泉門は18ヶ月まで残っていますが、やがてここも骨化が進み閉じます。

出典:https://www.pinterest.jp/pin/708331847624043176/

頭蓋が赤ちゃんの時は柔らかく、縫合部分に隙間があるのにはちゃんと訳があります。生まれてくるときに産道を通りやすくするためなのです。言い換えれば、成人すれば硬い骨で守られている脳ですが、赤ちゃんのときはまだ脳を守るべき頭蓋骨自体が硬い骨ではないため、頭をぶつける、強く打つなどがあると脳への衝撃を受けやすいということになります。

また頭部は外側から頭皮、帽状腱膜、骨膜、頭蓋骨、硬膜、くも膜、軟膜、脳の順にあります。頭部へのダメージとして考えられるのは、①強く打つなどの外力による外傷と、②回転角や急激な動きを加えることによるものが考えられます。①による主なものは帽状腱膜下出血や骨膜下出血などがあります。②による主なものは脳挫傷やくも膜下出血などがあります。

頭を打つことの危険性:骨折

赤ちゃんの頭蓋はまだ硬い骨になっていないので、強い衝撃を受けると骨折する可能性があります。抱っこするとき、寝かせるときなど首から頭を支えるように持ち、そっと扱うことが衝撃防止になります。

頭を打つことの危険性:脳震盪(のうしんとう)

脳震盪(のうしんとう)とは、転倒したり頭を強くぶつけたりしたとき、脳が大きく揺さぶられることで起こる一時的な脳の機能障害のことです。多くの場合はすぐに症状が現れますが自然におさまっていくと言われています。

しかし頭蓋そのものがまだ柔らかい赤ちゃんの場合、脳が水の中にプカプカと浮いているような状態であるため、脳が激しく揺さぶられることが大きなダメージにもなります。高いところから落ちないような対策や、赤ちゃんの頭を急激に動かさないなどの注意も必要です。

頭を打つことの危険性:帽状腱膜下出血、骨膜下出血

帽状腱膜(ぼうじょうけんまく)というのは聞き慣れない言葉ですが、頭皮の下にあり、頭蓋骨を包んでいる膜です。頭をぶつけるなどの外傷によって、帽状腱膜と骨膜との間に出血が起こる状態を帽状腱膜下出血(ぼうじょうけんまくかしゅっけつ)といいます。出血した血液が溜まると血腫となり、ブヨブヨとします。