ルトラールはどんな薬?不妊治療で絶大な効果!飲み方は?

【医師監修】ルトラールは黄体ホルモンに働きかけホルモンバランスを整えてくれるホルモン薬の一種で、不妊治療の際に多く用いられている薬です。このルトラールが不妊治療においてどのような役割を担っているのか、その効果や飲み方を紹介します。

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専門家監修
リエ先生
産婦人科専門医.。国立大学医学科卒業後、初期研修、後期研修を経て、現在大学病院で勤務しています。患者様の不安を少しでも取り除き、正しい知識を啓蒙できればとと思います。
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Contents
目次
  1. 不妊治療に効果のあるルトラールってどんな薬?
  2. ルトラールにはどんな効果があるの?
  3. 不妊治療薬としてのルトラールの役割とは
  4. 不妊治療中のルトラールの飲み方は?
  5. ルトラールを使用する時の注意点は
  6. ルトラールで高まる不妊治療効果への可能性

不妊治療に効果のあるルトラールってどんな薬?

ルトラールとは不妊治療を行う時に使用される薬です。女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンという2つのホルモンがあります。このうちプロゲステロンは黄体から分泌されており、子宮内膜を維持し受精卵を着床しやすくし妊娠しやすい環境を整えてくれる作用があります。(※1)

このプロゲステロンが足りなくなると子宮内膜が維持できなくなり不妊症に繋がったり、ホルモンのバランスが崩れて月経異常などの症状をひきおこしたりするのです。これを改善するための治療で効果を発揮するのがルトラールです。

ルトラールは黄体ホルモン製剤の一種で、一般名をクロルマジノン酢酸エステルと言います。白色の錠剤でプロゲステロンと同様の役割を持っており、様々な形で足りなくなったプロゲステロンを補います。

ルトラールにはどんな効果があるの?

プロゲステロンを補う役割のあるルトラールですが、不妊治療のほか月経に関する様々な症状の改善にも役立てられています。また、避妊効果を高めるのに利用されることもあります。以下で詳しく説明しましょう。

無月経

無月経とは月経が3ヶ月以上来ない症状のことです。思春期を過ぎても初潮が来ない原発性と途中で月経が来なくなってしまう続発性という2つがあり様々な原因が考えられますが、どちらも女性ホルモンの不足が要因となっています。

この治療法の一つにカウフマン療法というのがあります。エストロゲンとプロゲステロンを適切な時期に必要量補ってあげる療法で、このプロゲステロンの補充に使われるのがルトラールです。足りなくなっている女性ホルモンを補いホルモンのバランスを整えることで排卵が起こり月経も来るようになります。

リエ先生

産婦人科医

無月経の内容ですが、 無月経には2種類あり、エストロゲン分泌が保たれている第1度無月経と、エストロゲン分泌が保たれていない第2度無月経に分けられます。第1度無月経の場合、黄体ホルモンの補充により消退出血が起こるため、薬としてはルトラールを用いることがあります。第2度無月経の場合は黄体ホルモンの補充だけでは出血が起きないため、エストロゲン製剤と黄体ホルモン製剤の使用により出血を起こします。第1度無月経に対する治療法としてホルムストローム療法、第2度無月経の治療法としてカウフマン療法があります。

月経異常

月経異常とは月経周期や月経期間、あるいは月経の時で出る血量に異常が見られる症状のことを言います。前に述べた無月経もその一つです。頻発月経や希発月経、過多月経や過少月経など様々な種類があります。考えられる原因は症状や個人によって様々ですが、それらの原因が女性ホルモンの異常分泌を引き起こしホルモンのバランスを崩してしまうことで起こります。

この治療としてホルモン剤を使うことがあり、その中に黄体ホルモン製剤としてルトラールがあります。一定の期間服用し続けることで子宮内膜を維持させ、その後服用をやめることによって排卵、月経を起こします。これを何度か繰り返して徐々に正常な月経の状態に戻していくのです。

(生理については以下の記事も参考にしてみてください)

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生理で血の塊が!原因と対策!大きいときやレバー状のときは要注意!?

月経困難症

月経困難症とはいわゆる生理痛のことですが、ひどい時は日常生活が困難になる場合もあります。婦人科系の病気が原因となっている器質性(続発性)とはっきりとした原因が特になく痛みの症状があらわれる機能性(原発性)という2つの種類があります。

この月経困難症による痛みはプロスタグランジンという物質が子宮内膜で作られることで起こります。プロスタグランジンは子宮の筋収縮に作用する物質で、これが通常の量よりも多いと痛みも強くなります。

この痛みを和らげるためにはプロスタグランジンの作用を抑える物質の入っている痛み止めやピルを服用する方法がとられますが、ホルモン療法による症状の軽減や改善などの方法をとる場合もあります。これに効果を発揮するのがルトラールです。ホルモンバランスの調整や子宮内膜の維持というルトラールのもつ特徴によって痛みや症状を軽減させます。